江蘇省人民医院で6月29日、痙攣(けいれん)や意識を失うなど癲癇(てんかん)の様な症状を繰り返した女性(24歳)を手術したところ、脳内から長さ23センチメートルの寄生虫が出てきた。事前の検査で脳内に寄生虫が存在していることは分かっていたが、手術を担当した医師によると「これほど大きな寄生虫は初めて」という。中国新聞社が報じた。

 女性は既婚で1歳の娘がいる。最初に症状が出たのは2010年12月中旬で、夫、娘と親類の家に行き雑談をしていたところ、「突然、自分の口や目がコントロールできなくなった」感じがしたという。その直後に左半身がしびれて、転倒した。

 近くの病院で診察を受けたところ、CTスキャンの画像には、脳内に「白い点」がうつっていた。症状の原因になった「病巣」と考えられたが、医師は「白い点」の正体を判断できなかった。そこで、女性は省都・南京市にある江蘇省人民医院(病院)で、改めて診察を受けることになった。

 同病院神経外科の陳海峰主任医師もCTスキャンの「白い点」と女性の症状には密接な関係があると判断。まずは、癲癇(てんかん)の治療を施したところ、女性の症状はおさまった。しかし、陳医師は女性の血液検査で、寄生虫の項目が陽性になっていることに注目。女性に無錫市内の専門病院を紹介すると同時に、女性と家族に病状の変化に厳重に注意すると同時に、3カ月後には再び来院して検査するように話した。寄生虫はいったん、休眠期に入ったと判断できたという。

 女性に再び、強い症状が出たのは6月中旬だった。左半身が痙攣して意識を失い、口から白い泡を出した。女性は江蘇省人民医院に搬送され、癲癇の治療を受けて小康状態を得たが、病院側は外科手術で「病巣」を除去することを強く勧めた。

 手術にはリスクもあるとの説明を受けたが、女性と家族は「病巣」の除去を決意。神経外科は他の科の協力も得て、最善を尽くす体制を整えた。執刀責任者は陳海峰医師だった。

 開頭手術の結果、女性の脳内に肉芽腫が発見された。この肉芽腫が、周辺の脳組織を圧迫して、症状を発生させていると考えられた。陳医師は肉芽腫のそばに「1本の白い糸」のようなものを発見。寄生虫だった。摘出して長さを計測すると23センチメートルもあった。腫瘍のそばで寄生虫が発見されることはあるが「これほど大きなものは当病院の神経外科でも初めて」という。

 陳医師によると、寄生虫は線虫の1種で、自分の周囲に肉芽腫を発生させて、生存に都合のよい環境を作り出していたと考えられるという。

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◆解説◆ がんなど肉腫の周囲で寄生虫がみつかることは、それほど特異なことではないという。がん細胞などが低酸素状態を好むことも、同じく低酸素状態を好む寄生虫には都合がよいとされる。(編集担当:如月隼人)



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