「情報モラル」を「運用回避」にしたくない件

このエントリーはどんな「情報モラル/リテラシー」啓発をしたい・聞きたい? Advent Calendar 2018の1日目の投稿です。

心を育てるだけでいいの?

ITな人として仕事をしていると「運用回避」という言葉を良く耳にします。
このフレーズ、好きな人いますか?
私は好きではありません。


運用回避Google検索すると、後ろ向きな記事ばかりが目につきませんか?


「運用回避」とは、システム的に制御できないこと(もしかすると、できるにもかかわらず)を利用者が努力して頑張るということを指しています。


インターネットを利用する低年齢層のユーザが、フィルタリングやペアレンタルコントロールを使わずに、自ら怪しいサイトや相応しくないサイトを見ないように努力しよう!
って言われたら、頑張れますか?


私だったら断念します。


青少年のインターネット利用環境実態調査 - 内閣府を見ると、H29年度の速報では保護者が青少年のネット利用についてフィルタリングを利用している率は半数に届いていません。


青少年インターネット環境整備法・関係法令 : 青少年有害環境対策|共生社会政策 - 内閣府では、保護者の責務が謳われていますがこの結果を見ればその責務が果たされているかどうかは甚だ疑問です。


勿論、保護者だけに努力を課すのではなく、事業者には説明義務があるんですが...


これを踏まえて考えればNewニンテンドー3DSが発売された際に、クレジットカード番号を登録しないとフィルタリングが解除できない仕組みを予め導入していた任天堂は素敵な端末機器メーカーだと感じざるを得ません。


子供が利用することを想定して、フェイルセーフを選ぶというのは勇気が必要な判断だったのではないかなと。


せっかくの子供たちを守るための機能があるのであれば、使える状態にしておきたいし、知らない人がいれば周知する手助けをしたい。
事業者の努力が知られないままに、あれはアブナイ、あそこはアブナイと言われてしまっては勿体なくて仕方がないと常々思っています。

しかしながら、今後は運用回避になってしまうかもしれないもの

2018年度の初めに駆け巡ったニュースEMA事業終了、スマホ時代にキャリアの協力を得られず - ケータイ Watchを記憶している人はどのくらいいるでしょうか。


「モバイルコンテンツ運用管理体制認定制度」で認定されたサービス・アプリの運用監視が近々終了してしまいます。


EMAという第三者機関が認証した基準が存在しなくなれば、フィルタリングによって制限されるサイトやアプリはキャリアによって異なってきます。


あのキャリアなら見れるのに、こっちのキャリアでは見れない。


そうなった場合に、私たち啓発を行う側は何を基準に話をすればよいのでしょうか。
私たち保護者は、何を頼りにキャリアを選択すればよいのでしょうか。

ITな人として気を付けたいこと

タイトルにあげたように「情報モラル」を「運用回避」にはしたくありません。
勿論、心が育つことも必要ではありますが、心だけに頼るのではなく、心を支える技術もまた共にあって欲しいと思っています。


仕組みがあるなら周知したい。
仕組みが足りないなら、足りないこともまた周知する必要がある。
そんな風に感じています。