アップルは、今年4月にiPhone OS 4 SDKのベータ版をリリースした際にその規約を改訂して、他の広告事業者のユーザー情報収集をブロックしていたのですが、これは「ユーザーのプライバシーを守るため」だったと説明しました。競合を締め出そうとしたのではない、というわけです。
またジョブズは、他のアドネットワークがユーザーの統計情報を取得することも認める、と宣言しました。これによって他のアドネットワークも、iAdと十分に競合できる、はずでした。
今回、iOS 4の発表に合わせて再度デベロッパー規約が改訂され、確かに、他の広告事業者でもデータ収集を認める内容になっています。が、ついでに、「独立でない」広告事業者へのユーザーデータ提供を禁止する条文が盛り込まれていました。以下がその部分です。文中の「あなた」はデベロッパーを指しています。(強調は訳者によります)
3.3.9 あなたとあなたのアプリケーションは、ユーザーまたはユーザーデバイスのデータを、ユーザーの事前の承諾なく、収集・利用・サードパーティへの開示をしてはいけません。また、以下の条件が適用されます。
・収集・利用・開示が、アプリケーション利用に直接関係するサービスまたは機能を提供するために必要であること。たとえば、アップルの事前の書面による承諾なく、サードパーティの分析ソフトをあなたのアプリケーションにおいて使用したり、デバイスのデータを収集してサードパーティに送付し、集計・処理・分析をさせてはいけません。
・収集・利用・開示が、あなたのアプリケーションに広告を掲載する目的であること。主要事業がモバイル広告提供であるような、独立した広告サービスプロバイダーに対してデータ提供されること(たとえば、アップル以外のモバイル機器またはモバイルOSや開発環境のデベロッパーまたはディストリビューターの子会社や関連会社は、独立しているとは認められません)。また開示できるのは、UDID、ユーザーの位置情報、またはアップルによって広告目的で利用可能と指定されたデータに限ります。
「アップル以外のモバイル機器またはモバイルOSや開発環境のデベロッパーまたはディストリビューター」の「子会社や関連会社」って、まさにグーグルと、グーグルが昨年買収したモバイル広告企業のAdMobを想定しているかのようです。つまり、「AdMobは『独立』じゃないから、アプリからデータを渡しちゃダメ」ってことになりますね。
アップルの広告面におけるアンチ・グーグルぶりが、モバイル広告でも具体的な形で現れてきたようですね。
[AllThingsD via Apple Insider via Engadget]
Kyle VanHemert(原文/miho)