コロナ「5類移行」をここまで引っ張らせた真犯人 時代遅れの「感染症法」を見直さなければならない

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国会議事堂 空撮
彼らはなぜ2類への留め置きにこだわるのだろうか(写真:Katsuya Noguchi/PIXTA)

私は、毎朝、全国紙5紙と神戸新聞・東京新聞・福島民友など自らが関係する地域の地方紙、さらにいくつかの海外媒体に目を通すことにしている。

1月19日、毎日新聞以外の全国紙は、一面で感染症法上のコロナの扱いに関する記事を掲載した。毎日新聞も翌20日の一面で、この件に関する記事を報じた。朝日新聞の「コロナ5類緩和検討」から産経新聞の「コロナ『5類』4月移行」まで、論調に若干の差があるものの、全紙が一斉に報じるのだから、官邸が強い意志でコロナを2類相当から5類へ変更しようとしていることが分かる。

そして、翌20日の午前、岸田総理は、加藤厚労大臣に今春を目処に5類に変更することを指示し、ようやく、5類変更のプロセスが始まった。

専門家は2類への留め置きを求める

これまで、官邸は何度も2類から5類への見直しを提起してきた。その度に、専門家たちが、危険性を指摘し、2類に留め置くように求めてきた。たとえば西浦博・京都大学教授は、最近も「社会全体で緩和に伴う自由を手に入れることは、ヨーロッパの規模の感染や死亡を受け入れることにも通じるものです」(「8割おじさんはもう卒業」 新型コロナ第8波に向けて西浦博さんが訴えたい3つの対策/バズフィード、11月10日配信)と語っているし1月11日、厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」は、5類への変更に対し、「必要な準備を進めながら段階的に移行すべきだ」という声明を発表している。

いまや普通の風邪に近いコロナを、強毒性の鳥インフルエンザと同列の2類として扱うのは異様だ。そんなことをしている先進国はない。なぜ、彼らは5類変更に反対し、2類にこだわるのだろうか。それは、2類であることが、厚労省が保健所を介して医療現場に介入できる法的根拠だからだ。医療機関に対して、検査や治療を指示し、感染者の情報の提供を求めることができるのは、この感染症が、感染症法の2類相当とされているからだ。

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