まいど、憶良(おくら)です。
取材中に大火事発生、スクープ写真かっ! と思いきや、これが調理中の写真なんです。
今回は京都でラーメンを食べるなら、ココは絶対に行って欲しいというお店「めん馬鹿一代」をご紹介します。個人的にも最も忘れられない、心に残るラーメンと言えば、やっぱりここでしょう。というわけで京都市は上京区にやってきました。
2時間待ちも珍しくはないという大人気店。
入り口近くの長椅子に続いての、丸椅子の数が行列の長さを予感させます。
寒い季節にはストーブも用意されます。
さて、店内はなんとお客さんが全員外国人。
そういえば表の注意書きもグローバルな感じでした。
そんなめん馬鹿一代さんで提供されるラーメンは、「ネギラーメン」のみ。
「ネギラーメンとはまた地味な」とか「ネギラーメンが生涯忘れられないラーメンとは考えられない!」という方もおられると思います。
でも、これが爆発的な人気を誇っているラーメンなんです。
では、ラーメンを食べるまでの儀式とも言える過程をご紹介します。
メニューです。
基本はネギラーメン単品、もしくはネギラーメンに、何をプラスするかという注文になります。
スペシャルセットならバッヂ付き。
日本語、英語、中国語、タイ語などのバリエーションがあります。
ラーメン屋さんで「危険」ってどういうこと?
さて、メニューに裏面の注意事項を必ずお読みくださいとありますので
裏を見てると、なんと「危険」の文字が。
しかし最後まで読むと、「ネギラーメンは安全なラーメンです。30年以上提供していますが、死んだ人は今のところいません」
なぁんだ。 注意して、ちゃんとルールさえ守れば、いかに危険なネギラーメンとはいえ死ぬこともなく、安全に食べられるのね。
ほっと、ひと安心っ・・・て、
ええっ! なんだって!
ちょっとした緊張が走りましたが、
まずは紙エプロンを装着します。
温められたラーメン鉢に
スープが注がれます。
しょうゆベースで鶏ガラと魚介系の合わせスープ。あっさり味です。
ちゃっちゃっ、ちゃっ。と、リズミカルに湯を切って
スープの中に麺を投入。
麺は細麺で、このスープに一番合う物を、と、麵屋棣鄂さん(めんやていがく)に作ってもらっている特別な麺です。
チャーシューはバラ肉ではなく、肩ロース使用です。
バラを使ってチャーシューを作ると、バラの脂部分が後で注がれるネギ油と合わさってくどくなるという事もあり、肩ロースを使うようになったという事です。
「後、外国の方は脂身を嫌って、残してしまうんですよ。」という理由もあるのだとか。
このチャーシューはネギをしっかりとリフトし、沈まないようにする役目もあります。
ネギは高級な九条ネギを使用します。このネギを自家製ネギ油で熱して、その甘味と香りを極限まで引き出すのです。
この時点で美味しそう。
しかし、手を出してはいけません。
ここで注意事項を聞きます。
「水のコップをテーブルの下にしまってください。
手は後ろで組み、決して立ち上がらないでください。
大声を出さないでください。」
なっ、なんだっ、ちょっと怖いぞっ。
さぁ、後はネギ油をラーメンに注いで完成です。
ネギ油が熱されて、その温度は360℃に達します!
さぁ、いきます。
あっ、えっ、 あの、炎があがってますよ。
こっ、これはっ。
ちょっww待ってwww
ごおっ・・・・・
ど、どーんっ
おおぉおおおっ。
う、美しい。
そして、確かに熱いラーメンです。
・・・・・。
ぷすぷす・・・。
完成です。
ネギラーメンをいざ実食!
顔を近づけると、ネギの香りが立っています。
さて、実食です。
麺は細麺ストレート。歯ごたえもしっかりとした感じ。
「旨いっ!」 このネギが、確かに旨い。
シャキシャキして、ネギの持つ甘みがしっかりと感じられます。
チャーシューも、脂部分が無くて物足りない、ということもなし。
旨みが詰まってます。
そして、あれだけ大量のネギ油がかかったとは思えないほど、クドサはなしです。
更に、ネギ油の層が上にできるのでいつまでも熱々。
スープは、あっさり、まろやか。
とてもあれだけの油がはいっているとは思えないです。
鼻からふわっとネギの香りが抜け、箸が止まらない旨さです。
最後までシャキシャキを保つネギの食感と味を楽しみながら、
もっとゆっくりと味わいたいという気持ちと、箸を動かす手を制御できないというジレンマを感じている間に、
完食です。
スープも、全て飲み干した後、まだもうちょっと飲みたいと感じるほどの美味しさ。
当日は名物店長さんがお休みという事で、イケメンの息子さんにお話をお聞きしました。
憶良 : このラーメンの提供スタイルは、いつからなんでしょうか。
A : 店がスタートした時くらいからですから、もう30年以上ですね。
憶良 : このパフォーマンスが受けているという部分があるかと思うのですが。
A : 確かに、そういう部分もあるんですが、パフォーマンスの為のラーメンではなく、メインの九条ネギにどう熱を加えるか、という所がスタートラインなんです。
熱した石を入れてスープを煮たたせたりしたこともあったのですが、この方法に落ち着きました。
憶良 : 以前伺った時に、ほかのラーメンも食べさせて頂いたのですが、現在はネギラーメンのみなんですね。
A : 来られるお客さんがほとんどネギラーメンを注文されるという事もあり、この味一本で行こうと考えました。
憶良 : ものすごい自信がないと出来ないことだと思います。
このラーメンの一番のこだわりはどこでしょうか。
A : 何といっても九条ネギです。 まずネギありきで、ネギの甘みと香りを引き出すためのネギ油、そのネギ油を活かすチャーシュー、そしてこのチャーシューがしっかりとネギをリフトさせることによってネギがスープに沈み込まずにしっかりと熱を加えられる。
更にそのスープが最も活かされる麺の細さ、そして硬さ。
・・・。全部がこだわりでしょうか。
憶良 : そうですね。 確かに、主役を取り巻く全員が、しっかりと主役を立たせてラーメンという1つの舞台を成り立たせているという印象を持ちました。
ところで、お客さんに外国の方が多かったかと・・・、今回は全員が外国の方だったんですが、いつも外国の方が多いんでしょうか。
A : そうなんです。
大体9割5分の方がそうですね。
憶良 : ! 正にインターナショナルな味ですね。
最後に、お客さんにメッセージを頂けますでしょうか。
A : 行列は、申し訳ないのですが、覚悟のうえでお越しください。
ひょっとしたら外国人の方に囲まれて、日本人は「私だけ?」みたいなことになるかもしれませんが、お越しをお待ちしています。
そして、九条ネギの美味しさを体験して頂ければ幸いです。
との事でした。
炎が上がるのを知らないとびっくりするゾ
インタビュー中に、日本人のお客様も来られました。
撮影のお断りとご了承を頂きまして、調理シーンの撮影をさせて頂きましたので、それを見ながら今回のレポートを終了させていただきます。
まずは、こちらのお父さん。
「すみません、今、取材でこちらのお店にお邪魔させていただいています。炎が上がるところを撮らせて頂いてもよろしいでしょうか」
と伺いました所、
「あぁ、いいですよ。・・・・。えっ、炎が? えっ、上がるの? い、いいですよ」とご了承いただきました。
それでは、ネギラーメンの芸術的な仕上げの瞬間をご覧ください。
ぼんっ!
ごおっ!
ぐぉぉおぉぉぉっ。
この距離感、このライブ感が凄いんです。
綺麗です。
別角度で見るとこんな感じです。
ずどんっ!
さらに、その奥にいらっしゃったお客さん、2連発で。
ばちっ!
ぐぉぉ。
ぐぉぉぉぉおぉぉっ。
ねっ、一生忘れられない、印象的なラーメンでしょう。
もちろん、味も。
帰り道、奥歯にネギが挟まっていたのをかみしめると、また甘さが広がって、「ふふっ」と笑ってしまいました。
ちょっぴり幸せな余韻です。
インターナショナルテイストの公式Webも、チェック!
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
プロフィール
憶良(おくら) : 元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。
ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。
休日は高速道路を使わずに名古屋から鳥取あたりの温泉に行って浸かり、地元スーパーで珍しい食材を買い込むと例え深夜に帰ったとしても料理する。
その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。
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