白血病から再起を目指す池江璃花子(20=ルネサンス)が、594日ぶりの復帰レースに臨んだ。

自身が日本記録24秒21を持つ女子50メートル自由形に登場して26秒32をマーク。同組1着でフィニッシュした。

池江のレースは白血病公表前の昨年1月13日三菱養和スプリント以来1年7カ月ぶり。当面の目標である日本学生選手権(10月、東京辰巳国際水泳場)での個人種目参加標準記録26秒86をクリアした。

池江は、昨年2月に白血病を公表して10カ月の闘病生活を送った。「毎日吐いたし、1日に何度も戻した。」という闘病に耐えて、昨年12月の退院時には大目標として「2024年パリ五輪でのメダル獲得」を掲げた。今年3月からプールでの練習を再開。日本学生選手権に動きだしていた。

闘病中だった昨年9月の日本学生選手権。池江は一時退院の許可を得て、3日連続で日大応戦席で声援を送った。メガホンを持ち、立ち上がって声を出した。仲間の泳ぎに涙して、最終日の男子総合優勝では仲間と集合写真をとった。「総合優勝、とてもうれしかったです。今年は出られずに本当に悔しかったので、必ずまたリベンジします。GO! 日大!」とメッセージ。入院中の池江が自身のSNS、HP以外でコメントを出したのはこの1度だけだった。当時は闘病の最中だったが、仲間たちとの集合写真を励みにして、白血病と正面から向き合った。日本学生選手権を目指したのは、1年前からの“誓い”といえるものだ。

急回復をみせるようにうつる20歳だが、まだレースに復帰したばかり。体調が最優先であることは変わりなく、今後の可能性を占うのは時期尚早といえる。新型コロナウイルス感染症も収束の見通しは立ってない。ただ「病気の人たちにここまで強くなれると知ってもらいたい」と言う20歳の第1歩は、どこかで誰かの光になる。【益田一弘】

◆白血病から復活した主なアスリート サッカーJ2新潟DF早川史哉は入団した16年4月に急性白血病を発症。昨年10月5日の鹿児島戦で約3年半、1287日ぶりに公式戦復帰。オリックスの岩下修一元投手は1年目の00年には初勝利も、01年に急性骨髄性白血病を発症。約4カ月入院して抗がん剤治療で回復。02年の開幕戦で3番手で登板して復帰。格闘家のノブ・ハヤシは99年K-1ジャパンGP準優勝など活躍していたが、08年に急性骨髄性白血病を発症。09年に治療を受けて復帰。10年に再発も骨髄移植を受け、13年にリング復帰。昨年12月には青木真也と対戦した。