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「世界の終わりではない」気鋭のデータ科学者は地球の未来を楽観する

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猛暑で一部が干上がったティティカカ湖=ペルー南部で2023年11月29日、AP
猛暑で一部が干上がったティティカカ湖=ペルー南部で2023年11月29日、AP

 「地球沸騰化」をはじめ、気候変動の危機を伝える言葉に不安を感じる人も少なくないだろう。だが気鋭の英データ科学者、ハンナ・リッチーさん(31)は、英語圏で話題の新著「ノット・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド(世界の終わりではない)」(未邦訳)でこう楽観する。「私たちは持続可能な未来を築く最初の世代になれる」

 本当にそんな未来が待っているのか。リッチーさんが日本メディア初のインタビューに応じた。

人間の幸せと環境保全は両立できる

 ――昨年の世界の平均気温は観測史上最高を大きく更新しました。

 ◆極端に暖かい年だった。人為的な地球温暖化に(太平洋の赤道域東部の海面水温が平年より高い状態が続く)エルニーニョ現象の発生が重なり、世界の気温に大きな影響を与えた。しかし、私たちが昨年経験した暑さは遠くない将来に普通になる。温室効果ガスの排出が増え続け、温暖化が進むと予測されているからだ。

 ――あなたはかつて「地球に住む場所は無くなる」と絶望していたそうですね。

 ◆気候変動に関心があり、大学で環境科学を専攻した。当時の私は世界の状況にとても悲観的だった。環境に関する指標のみならず、貧困や子供の死亡率、飢餓なども悪化の一途をたどっていると思い込んでいた。大きすぎて解決できない問題だと無力感を覚えていた。

 転機はスウェーデンの公衆衛生学者、ハンス・ロスリングさんの研究に出合ったことだ。彼は環境問題に焦点を当てていたわけではないが、人間の健康や幸せに関する指標の多くが実際には劇的に改善していることを長期的なデータで示した。

 私はこの10年、環境を巡る問題で大きな変化を目の当たりにし、多くの課題を解決できるのではないかと、慎重ながらも楽観的に構えるようになった。人類は健康や幸せを向上させながら環境への影響も減らすことができる。以前で…

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