連載:『やべっちF.C.』の功績 新番組『やべっちスタジアム』の全貌

やべっちスタジアムがいよいよスタート 矢部浩之が語る番組への思いとF.C.のこと

飯尾篤史

新番組を始めるにあたって矢部さんはまず、尽力してくれた方々と『やべっちF.C.』終了を惜しんでくれたファン・サポーター、選手たちに感謝した 【写真:Suguru SAITO/DAZN】

 DAZNにてサッカーの新番組がスタートする。その名も『FOOTBALL PROGRAM やべっちスタジアム』。メインMCにナインティナインの矢部浩之さんを迎え、DAZNにおけるスタジオ番組としては初めて生配信されるという。11月29日の日曜日23時からの初回配信を前に、矢部さんに新番組への思いをうかがった。

匂わせるどころか、そのままやで

――DAZNで新番組『FOOTBALL PROGRAM やべっちスタジアム』の初回配信が11月29日から始まります。オファーが届いたときのお気持ちはいかがでしたか?

 ほんま恵まれてるな、と思いました。スタッフをはじめ、いろんな方々が動いてくれたおかげやと思うんですよね。だから、本当にありがたいなと。あと、『やべっちF.C.』が終わるとき、ファンやサポーター、選手も悲しんでくれたじゃないですか。あれも大きいと思っていて。僕は熱くなっても、頭はクールな方なんですけど、選手からのメッセージはジーンときましたね。「番組継続のために力になれることはありますか」って連絡をくれた選手もいて、ビックリしました。「こっちが楽しませてもらってたのに、そんなに思ってくれてたの?」って。

――『やべっちF.C.』は矢部さんが日本サッカーを応援したいということで、「日本サッカー応援宣言」と謳(うた)っていました。でも、いつの間にか、選手やサッカーファンから応援される番組になっていたんですね。

 本当にありがたいですよね。プロになる前から『やべっちF.C.』を見てて、出るのが目標やったという選手もおるし。なでしこの皆さんもメッセージをくれましたし、ブラインドサッカーの選手も『やべっちF.C.』に出るのが夢だったので残念でした、ってTwitterに書いてくれてて。それを見て、家でポカーンとしました。「そんな番組になってたんか」と。男子もなでしこも、フットサル、ブラインドサッカー、ビーチサッカーも、サッカーファミリーみんなが楽しんでくれてたんやなって。だから、新番組が決まって、皆さんの期待に応えたいという気持ちも出てきました。

――新番組のタイトルに関しては、どんな印象ですか?

 いや、あの、僕はしっくりきましたよ(笑)。新しく始めるにあたって、番組名は変えるのが筋やと思うし、でも、「やべっち」って付いているから、皆さんにとってもそんなに違和感はないと思うんですよね。

――「F.C.」って、チームじゃないですか。チームからスタジアムに変わって、大きくなったという印象を受けました。

 だいぶデカなりましたね(笑)。チームの監督からクラブのオーナー、みたいな。ただ、僕は監督やオーナーというより、プレーヤーでありたい。プレーヤーとしてプロの選手たちと共演したい、絡みたい。そのスタンスは変わらないと思いますね。

――変わらない、ということで言えば、ロゴやワッペンはどう思いますか?

 これはもう匂わせるどころか、そのままやでって(笑)。でも、いいと思います。『やべっちF.C.』を始めるとき、いろんなカラーパターンの中から、僕が「これがいい」と言うたんですよ。この配色には思い入れがあるし、『やべっちF.C.』を見てくれてた人もスッと入れるんじゃないですか。変にカッコつけたり、構えない方がいいかなって。すごく気に入ってますね。

あんな俊輔、もう見られへん

水色とオレンジの配色は『やべっちF.C.』スタート時に矢部さんが自ら選んだものだという。新番組のロゴにも同じ配色が使用された 【飯尾篤史】

――実は今回、『やべっちF.C.』の人気企画の読者投票を行ったんです。その結果、「デジっちが行く!」が1位で、「ガチンコフットサル対決」が2位。「解説するっち」が3位でした。(ランキングの詳細は関連リンクの「視聴者が選ぶ!やべっちF.C.記憶に残る企画」をご覧ください)

 おぉ、「ハーイ!やべっち」が上位に入ってるのはうれしいなぁ。チェアマンや会長が「ハーイ!やべっち」をやってくれたんがデカいと思いますね。「フリーキック研究所」とか、懐かしいし、「ガチンコフットサル」や「宿題」が上位にあんのもうれしい。「おかっちF.C.」も入ってる! ちっちゃいおっさん、喜ぶやろな(笑)。
――最も印象に残っている企画はなんですか?

 どれも思い出深いですけどねぇ。やっぱり、(中村)俊輔との「フリーキック対決」ですかね。まぐれで勝って、あのときはテンション上がったな。一番はしゃいだかもしれへん(笑)。俊輔と言えば、「デジっち」も衝撃でしたね。よくやったなと。もう川又(堅碁)様様ですよ。当時、監督が(やべっちF.C.の解説者だった)名波(浩)でしたから、『やべっちF.C.』の空気を(ジュビロ)磐田に持ちこんでくれたんやろなとも思ったり。あんな俊輔、もう見られへんと思うしね(笑)。

――「デジっちが行く!」は、各チームが競い合っていましたね。

 サッカーの素材がないオフシーズンに、うまいことハマりましたね。選手があれだけ頑張ってくれるとは思ってなかったんですよね。選手の素顔やチームの裏側が見られたら、くらいの企画やったんですけど。選手がどんどん工夫して、面白くしてくれた。あと、小野伸二とかのゴールデンエイジも印象深いですね。「フットサル対決」とか、「なべっち」とか、出てくれて。特に高原(直泰)ね。もともと「俺、サッカーだけするんすよ」っていうスタンスで、しゃべらん子なんですけど、『やべっちF.C.』に出たら、すごくしゃべってくれて、よく笑うし、笑顔もかわいい。高原って、こんな子やったんやって。その後、高原は「一番仲良いタレントさんは矢部さんです」と言ってくれるようになって。他の選手もそうですけど、『やべっちF.C.』に来たら、リラックスして楽しんでくれたのはうれしかったですね。スタッフのおかげなんですけど。

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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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