犬笛日記

それは犬笛のような魂の叫び

本能寺の恋(初めて彼氏ができた話)

三日天下という言葉で知られる明智光秀であるが、彼が天下統一を果たしていたのは、実は13日間であったという事実は、意外と知られていない。

 

たった13日間とはいえ、天下を取ったことに変わりはないわけなので、非凡な才能に恵まれていたことは疑いようのない事実なのだが、三日天下という言葉のインパクト故に、こんなに何年も馬鹿にされ続けられるというのもまた、可哀想な話である。

天下を取った方法が、本能寺の変とも呼ばれるクーデターだったというのもまた、彼のマイナスイメージに拍車をかけてしまっている。

 

歴史の教科書を開くたびに、思う。
天下統一を果たしていた13日間、光秀はどんな気持ちで過ごしていたのだろうか。
今の私には分かる。彼はきっと、不安で仕方がなかったはずである。幸せのピークというのは、そういうものだ。

 

 

 

謙虚で実力のある人間が好きな私は、はじめて会った男性にとにかく質問をしまくる。
能ある鷹は爪を隠す。魅力的な人ほど、自分から自慢話をすることは少ない。だから私が聞き出してあげる必要がある。我ながら面接官向きの人材だと思う。

 

相手の良いところを探す、といえば聞こえはいいが、ここは掘っても何も出ねぇな、と判断すれば、すぐに切り上げて別の金脈を探しに旅立つ残酷なコミュニケーション。恋活とはそういうことの繰り返しである。

 

 

 

その人は初めて知り合った時「今度野球を観に行きましょう」と私に言った。
私は野球のことはぜんぜん分からないため、イベント感覚で出向いてはしゃぐだけになってしまうので、本当のファンからしたら腹が立つような振る舞いをしてしまうかもしれないけれど、それでも大丈夫だろうか?と尋ねると、「一緒に行ってくれるだけでありがたいです!」と彼は答えた。控えめな人だなぁと思った。

 

野球観戦が好き。ボルダリングが好き。ダイビングが好き。彼は今好きなものの話だけを私に聞かせてくれた。だから、過去にどんな経験をしていて、今何ができて、これからどんなことをしようとしているのかはすべて、私から尋ねる必要があった。

 

海外の大学を卒業した後に日本で就職した彼は、やっぱり大学院に進学することにする。彼の専門とする分野では、大学院卒でなければ希望するポジションにつくことはなかなか難しいことを、実際の組織の中で目の当たりにしたのだそうだ。

通常卒業に二年かかる修士課程を一年で卒業し、博士課程に進学。寝る間も惜しんで休みなく研究を繰り返し論文を書き続ける日々。海外の有名な論文誌にも採択され、研究者として順風満帆な日々を送っていた彼であるが、博士号の取得を目の前にして大学を退学することを決心する。

え?なんで?もったいない!そんなに優秀だったのに!と私が反応すると、彼はこんな風に答えた。

 

「研究者の仕事の中で一番重要なのは、予算を獲得することだった。予算を獲得するのに重要なのは、予算を出す場所、すなわち国に認められやすい研究をすること。だから、本当に世の中に求められるものよりも、その時の流行りだったり、予算の申請のしやすさで研究対象を決めていくことになる。その繰り返しに、虚しさを感じるようになってしまった。」

 

 

かつて私も、大学や大学院の研究室で、卒業するためだけに研究テーマを設定し、論文を書いた。自分の出す成果が誰の役にも立たないことなんて分かりきっていたけれど、それに気を病むようなことはなかった。

社会人になってからは、この世に存在する無意味な仕事の量に唖然とした。社会には、仕事のための仕事というものがあまりにも多い。みんなが下を向いている会議を開く仕事。現実社会で使ったら馬鹿にされるマナー研修の仕事。誰も使わないシステムを作ってみる仕事。無駄な仕事のおかげでお給料がもらえて、ご飯が食べれる。そういう人が大勢いる。この国は無駄で食っている。必要のない工事っていうのは、だから必要なのかぁとその時はじめて合点がいった。

 

意味のないものにも意味がある。そうやって色んなことに折り合いをつけて、自分を納得させることで、この世の不条理から目を背けて、やり切れない思いから逃げ続ける。それを強いる社会にも、簡単に諦めてしまう自分にも、言葉にできない閉塞感ばかりがつきまとっている。

 

目の前の彼は、そんな鬱憤を吹き飛ばす力に溢れているように見えた。

本当は自分で越えなければいけない壁も、消さなきゃいけない問題も、いったん全部横に置いて、誰かに寄り掛りたくなる瞬間を、恋と呼ぶのだとしたら、私はそこに落ちてしまった。

 

 

 

後日、おすすめのホラー映画があるからと、彼の自宅に誘われた。
私の家と彼の家はわりと近い場所にあったのだが、私がもうすぐ近隣の区に引っ越すことを伝えると、「せっかく近くにいるんだから、遠くいくなよ」と不意に言われ、私はKO寸前となってしまった。

 

これはもう、ホラー映画の勢いに任せて、抱きついたりしてみようかな...!

そう決意を固め、狭いソファで彼と並んで映画を鑑賞する。怖そうなシーンが近づくたびに身構えるが、なんとこの映画、ただ薄気味悪いだけで全然怖くない。せめて大きい音でも出してくれれば驚いたふりして抱きつくのだが、それすらもない。

なんだこのクソ映画...とがっかりしつつ、あまりのつまらなさにウトウトしていると、自分の腕と脚に、彼の体が徐々に密着してきているのを感じた。

 

あぁ、本当に、寄りかかってしまう...。

 

信じられないくらいつまらないクソ映画だけど、ずっと終わらないでいて欲しいなと思う。理不尽に気味の悪いことばかり起こり続けるテレビの中をみつめながら、どうせ最後まで見切ったところで、きっとこの謎は解けないままなんだろうなと諦めにも似た感情が湧く。

 

身体から力が抜けていくのは、つまらない映画のせいなのか、彼の体温のせいなのか、自分の打算のせいなのか、考えることを放棄して、そのまま隣に身を預ける。

 

 

彼の手が、自分の身体に微かに触れはじめる。

 

あ、これは、あれだ。やるってやつだ。

 

そりゃそうだ。はるばる家までやって来て、狭いソファに並んでくっついて、トドメに全身使ってよりかかってんだから。今更何を言ってんだオマエって感じである。

 

けれど、色んな人が言っていた。付き合いたいならすぐにやってはダメだと。

根拠はちゃんとは知らないけれど、相手にクリア感を与えてしまってはダメなんだぞと。

 

今やってしまったら、私は彼に全クリされてしまうのだろう。本当はお互いに、まだ一面しか知らないのに。

 

しかし、今更大騒ぎでこの家から逃げ出すなんて空気の読めない女みたいな行動が自分にできるだろうか。

 

 

つまらない仕事も、ホラー映画の結末の理不尽さも、諦めることばかり上手になっていく。自分の聞き分けの良さも、すぐに丸め込まれたふりをしてしまうところも、他人からすると便利なんだろうけれど、自分じゃ好きになれないなぁといつも思う。

 

 

ちゃんと誰かに寄りかかりたいなら、最初の壁くらい自分で越えなくちゃダメだ。

 

 

寄りかかっていた身体を起こして自分の力で重心を支えて彼に向かい合う。

彼は急に動き出した私に不意を突かれて目を的のように丸くしている。

 

その目に向かって放つ。

 

 

「貴方とちゃんと付き合いたいです。貴方の人生を観たい。」

 

 

クリアのない旅に。どうか。僕と一緒に。

 

 

私の肩に手を乗せたまま彼が答える。

 

「じゃあ付き合ってみる?」

 

軽いなぁ...と笑いながらそのまま彼の胸に飛び込んでギュッと抱きしめてみる。同じ力でギュッと返されるのを感じて、やっぱりこのまま終わらなければいいのになぁと思う。

 

 

抱きしめるって便利だなぁと思う。いくらニヤついても顔が見られる心配がない。いつまでたっても彼を離すことが出来ないのは、そのせいだけではないのだけれど。

 

彼は言う。「付き合いながら、お互いのことをもっとよく知っていこう。」私たちはまだお互いのことを何も知らない。好きだから、お互いのことをもっと知りたい。

 

二人の関係に名前がついた。

私は友達にすら、堂々と友達って言えない。だって合意してもらったわけじゃないし。

でも今ここに、合意形成した恋人ができた。私が選んで、選ばれた。

自分だけがこんなに幸せでいいんだろうか。もう今この地球上で、誰が私に勝てるんだろうか。気分は天下統一である。

 

 

その瞬間、頭の中に一つの疑問が浮かぶ。

天下統一を果たしたら、次はいったい何をすればいいのだろう?

私としては、ずっと彼を抱きしめていられればそれでいいのだが、恋人という名前がついた以上、それらしい振る舞いをしなければいけない気がしてくる。しかし、恋人らしい振る舞いとは一体なんなのだろうか。世の中の恋人たちは普段どのように過ごしているのだろうか。

 

宿泊させてもらうことにした彼の家のベッドの上で、そんなことを考え続ける。彼が速攻で眠りについたのに対し、私はいつまでたっても一睡もできない。そういえば私は近くに人がいると眠りが極端に浅くなるのである。そんな所も交際に向いていない気がしてくる。そして彼はずっと私に腕枕をしてくれているのだが、これはキツくないのだろうか。気になって頭に体重をかけれない。ますます寝られない。

 

幸せすぎて怖いなんて状態、あるはずがないと思っていた。けれどまさに今、全身で人生のピークの最中にいることを感じてしまっている。欲しいものをすべて手に入れてしまった。あとはくだるだけではないか。今がずっと続けばいいと思うのに、そうならないことだけは、歴史に証明されている。

 

ついに彼が私の首から腕を抜いた。やはりキツかったのか...。私もそれでようやく眠りについた。

 

 

朝起きると隣に彼がいる。夢じゃなかった。試しに手を握ってみると握り返してくれる。ついでに抱きしめてくれる。すごいシステムである。作った人ありがとう。多分はじめて神に感謝した。

 

しかし、付き合っていきなり寝起きの醜い姿を見られるというのは少々キツイ。臭い口のまま彼に向きあうのはもっとツライ。頑張って起きあがり、持参した歯ブラシと髭剃りを取り出す。

 

洗面所に行って歯磨き粉をもらい、念入りに歯を磨く。髭を剃ろうとするが、彼は髭が生えない体質らしく、髭剃りクリームがない。なので洗顔フォームを借りて髭を剃る。ついでに化粧水を借りる。なんだか恋人らしい振る舞いっぽい気がする。

 

恋人っぽく「化粧水借りたよー」と言いながら部屋に戻ると、彼はPCで音楽をかけて座っていた。私はその横にちょこんと座って朝のまどろみを楽しむ。

 

 

お腹すいたねぇ。と言うと、彼は昨日おやつで食べていたキャラメルコーンを取り出して、「はい」と言いながらそれを食いだした。

 

え?朝ごはん、スナック菓子でいけちゃう人なの?海外帰りだとそれが普通なの...?

 

改めて、彼のことを何も分かっていないんだよなぁと思う。当然、彼も私のことを何も知らない。朝は食が細く、スナック菓子を受け付けられないことも。

 

キャラメルコーンを食う気にならず、ゴロンと横になる。恋人らしく、彼のひざを枕にしてみる。途中で飽きて、彼の背中に背中を預けてふざけたりしてみる。カップルっぽいではないか。

 

彼はずっと、パソコンで海底生物に関する動画を見たり、野球を観戦したりしていた。

 

気づけば昼である。

 

彼が食事を欲する気配がない。

 

昼飯食べたくない?

 

彼にそう質問すると、「うーん。休みの日だけはあんま食べないんだよね。」とだけ答えが返ってきた。

 

 

そうなのかぁ。昼食べないのかぁ。変わってるなぁ。俺は食べたいんだけどなぁ。。

 

恋人だけど、言いたいことの全部は言えない。

 

というか、俺がご飯を食べたがってるんじゃないか?とかって考えたりはしないのかなぁ。

 

聞きたいことは、ぜんぜん聞けない。

 

代わりに、昨晩の残り物ご飯を温めてお昼ご飯として頂く。彼は本当に食べないらしい。彼の健康が少し心配になってしまう。

 

 

夕方になる。彼は突然「よし着替えよう!」と言い出し、シャワーを浴びだした。

 

え?いまさら?というと、うん。今から出かけるから。友達とご飯行く約束した。と言い出す。

 

あ、そうなの?そういえばさっきからちょいちょい携帯でメールしてたのはそれなのね。

 

 

そのまま彼は友人の元へ行き、私は自宅へと戻る。

 

 

次に会えるのは来週だろうか。そもそも恋人というのは、どのくらいの頻度で会うのが適切なのだろう?と私が頭を悩ませていると、「ごめん。来週は予定があってあえない。再来週は土日のどっちかは空くとは思うけどまだ分かんない」と彼が言う。

 

そうなのか。。非常に残念な気持ちに包まれる。まぁ、来週の予定が埋まっているのは仕方がない。予定がガラガラの人間よりも、ある程度埋まっている人間の方が、こちらとしても付き合いやすい。しかし、再来週の分からないというのはなんだろう。予定が分からないってのは埋まりきっていないというわけではないのか。その予定を相手のために空けるというのが、付き合うということではないのか。

 

重い女みたいな考えばかりを頭に浮かべながら、一週間という時を過ごす。

 

恋人らしく毎日LINEで連絡を取り合っていた我々であるが、土曜の早朝に届いたLINEを見て私は言葉を失った。

 

 

「今日はシンガポール人とリアル*1してくる!」

 

 

へ?なんで?なんで彼氏いるのにリアルするの?てかそれを俺に言っちゃうの?でもここまで悪びれるそぶりもないってことは、まったく後ろめたい気持ちがないということなのかな...ってかシンガポール人って何...。どんだけグローバルなの...。

 

重い女は嫌われる。聞きたいことも全部は聞かない。それがこの世のマナーだと、いろんな人が言っている。だから私は、何も聞けない。 

 

「シンガポールは同性愛行為は違法だから、気をつけてね(笑)」

 

私が全力で導き出した返信に、彼は一言「お茶するだけだよ。」と答えた。

 

 

週末は会うことができないとわかったので、なんとか平日に会うことはできないだろうか。
彼が会社帰りにボルダリングに行くというので、自分も一緒に言っていいかと尋ねると、「今日は時間ないから休みの日とか時間あるときにしよう」と言われてしまった。休みの日に会えないというからそう提案しているのに。

 

 

暖かくて幸せだった関係が、名前がついた瞬間に、変わってしまった。
せっかく恋人になれたのに、そこから一度も会うことができていない。

 

彼と恋人という名前の関係になってから二週間後、私は新居に引越しをしていた。
お世話になった家から次々に荷物が運び出され、からっぽになっていく。
寂しさを噛みしめる暇もなく、新しい住処に荷物が運び込まれて行く。慣れない街も、ピカピカな壁も床も天井も、すべてが新鮮に感じて、心がワクワクしてくる。

 

引越し屋さんにお礼を言って見送り、ダンボールだらけの部屋の中で、荷ほどきもそこそに、ベッドの上に横たわる。とても疲れた。動けない。けれど今から、新しい生活がはじまる。

 

 

彼からのLINEが到着したのは、そんな時だった。

 

 

「俺ら、やっぱり友達に戻れないかな。お前のことを知らなすぎて、恋人として好きになれない。」

 

 

 

終わった。

身体がベッドに沈んでいく。空気の中にいるのに、溺れて死んでしまいそうな気がする。

 

友人たちに彼氏ができたと報告したとき、彼らはみんな盛大に祝福の言葉を送ってくれた。よかったね。幸せになれたんだね。今度話を聞かせてね。

 

聞かせる話などなくなってしまった。それどころか、私は初めから愛されてなどいなかった。

 

 

「お互いのことを知るために、付き合うんじゃなかったの?」

 

 

彼が2週間前に、私に告げた言葉を確認する。

 

 

「その前提がおかしいと思わない?好きじゃないのに付き合うなんて、やっぱり変だよ。」

 

 

2週間前の彼の言葉が、現在の彼に殺される。いとも簡単にそんなことができてしまう彼のことが、少し羨ましいなとさえ思う。

 

 

「じゃあ...なんで付き合うって言ったの?」

 

 

きっと最後になるであろう質問を、彼に向かって投げつける。答えはわかっているくせに、そんなことをする自分は性格が悪いなと思う。

 

 

「付き合うって言ったのはイチャつく前で気持ちが高ぶってたから。」

 

 

私が頭の中に用意していた模範解答と同じ解答をされて、やっぱりこの人、正直な人だなぁと思う。

 

 

身体がベッドに沈んでいく。寝具が準備できた後でよかった。でもできれば、引っ越す前に言って欲しかった。しかもまさかLINEで振られるなんて。JK(女子高生)かよ。おまけに2週間て。2ウィークアキュビューかよ。明智光秀ここにあり。

 

引越し初日の燃え盛る本能寺の中、携帯を投げ出して20分ほど立った時に、彼から追い討ちのLINEが到着した。

 

 

「ちょっと聞かせて。泊まった翌日に化粧水勝手に使ったり、髭剃りのクリーム探したけど無かったから洗顔使ったとか言ってたけど、そういう風に漁ったり、人のもの勝手に使うのはどういう考えて動いてるの?彼氏のものは自分のもの的な?
あと俺が遊びでるとき「一人で行くなら一緒にいく」とか言ってくるけど、遠回しに他の人と遊んでるかをチェックされてるみたいで嫌だ。」

 

 

 

マジかよ...。燃え盛る本能寺にトドメとして放たれた矢のようなそのLINEは、攻撃力は恐ろしく低かったが、そこに込められた悪意だけでも、相手の士気を奪うには十分なものなのだなぁということを感じさせられる。

 

例えば人の家のお風呂を借りる時、「シャンプー貸して!リンス貸して!ボディーソープ貸して!洗顔貸して!蛇口ひねらせて!」といちいち確認されたら、コイツはどうするんだろうか。
歯磨き粉の横に、化粧水はあった。お風呂の中に、昨夜借りたもの同じ洗顔料があった。それらを少しだけもらって、事後報告した。それがそんなに、悪いことだろうか。

 

どうしても、自分が悪かったとは思えない。でももう面倒臭い。

 

 

「ごめん。歯磨き粉の延長で勝手に使って良いと勝手に解釈して使ってしまっていた。よくないよね。気分悪くさせてしまって本当にごめんなさい。

一緒に遊びに行きたかったのは、ぜんぜん会えてなかったから少しでも会いたかったからだったんだけど、そんな風に見えてたんだね。それもごめん。」

 

 

ていうかシンガポール人とリアルするとか言ってる方がよほど非常識だろうよクソが!!!そんなに化粧水守りたいなら金庫にでも閉まっとけや!!!と叫びながら、最後のLINEを送信する。

 

 

すると、30分ほど時間を開けたのち、相手から返信が届いた。

 

「小さなことだし、そっちが悪いって事じゃないから謝る必要はないよ」

 

 

なんやねんコイツ!!!!何がしたいねん!!!つーか絶対自分が悪者になりたくないだけやろ!!!!化粧水とか絶対俺にケチつけたいだけやろ!!!発情して交際OKしてしまった自分が情けなくて相手に難癖つけたかったけどこの俺様が完璧超人すぎてそのくらいしかイチャモンつけるところがなかったんやろ!!!!クソが!!!!!

 

 

でも、こんな人を好きになってしまったことも、こんな人にすら振られてしまったことも、もうまとめてすべてが悲しい。

 

 

翌日、悲しさに明け暮れた状態で泣きながら役所に転入届を提出しに行ったので、窓口の人からは、この人どんだけこの地域に転入するのが嫌なんだ...とか思われたかもしれない。
離婚届はあちらですよ、とか言われてもおかしくないような状態で出向いたにも関わらず、窓口の方からは大変丁寧に対応して頂けたので、あぁ...自分を受け入れてくれるのは役所だけだなぁ...と思った。公共施設は裏切らない。

 

ということで、みなさん税金はちゃんと払いましょうね。

*1:出会い系アプリ等で知り合った相手と一対一で直接会うこと。この記事が詳しい。