ぴあ、三菱地所と資本業務提携 イベント企画など協力
チケット販売大手のぴあは13日、三菱地所と資本業務提携を結んだと発表した。ぴあが主催する音楽イベントなどを、三菱地所が持つホールで開催する。新型コロナウイルスの感染拡大によりイベントの中止が相次ぎ、ぴあの2021年3月期連結決算は過去最大の最終赤字となった。提携で資本増強につなげるとともに、チケット手数料収入に頼らない収益構造への転換を模索する。
ぴあは三菱地所を割当先とした第三者割当増資を実施し、約20億円調達する。払込期日は5月31日~6月11日。これにより三菱地所はぴあの発行済み株式数のうち4.4%を保有する。
両社は21年度内に、ホールや劇場の運営マネジメントを手がける共同出資会社を設立。イベントの共同企画にも乗り出す。ぴあは20年、横浜市内で三菱地所が所有するエリアにライブ施設を開業した。保有施設の収益力を高める狙いもある。
新型コロナの影響で、ぴあの業績は低迷している。同社が13日発表した21年3月期の連結業績は、最終損益が66億円の赤字(前の期は1億円の黒字)、売上高は前の期比59%減の673億円だった。大型イベントの中止や入場制限が続き、イベントの興行主やチケット購入者から受け取る手数料収入が落ち込んだ。自己資本比率は21年3月末時点で3.5%(20年3月末は10.2%)に落ち込んでいる。
ぴあはこれまで、チケット販売手数料が収入の柱だった。新型コロナの影響が長期化するなか、手数料収入以外の収益モデルの構築が急務となっている。
今回の資本業務提携により、三菱地所が強みとする都市計画のノウハウを生かし、エンターテインメントを通した街づくり事業への参画も目指すとしている。三菱地所の所有施設を使ってぴあ主催のイベントを企画するなど、コロナ後の需要回復を見据えて連携を強める。