全1732文字

 政府と産業界、学術界が連携してデジタル人材を5年間で175万人育成する――。参議院議員の片山さつき氏は日本経済新聞社と日経BPがこのほど共催した「デジタル立国ジャパン・フォーラム」において、このような目標を示し、実現に向けた作戦について明かした。

参議院議員の片山さつき氏
参議院議員の片山さつき氏
[画像のクリックで拡大表示]

 片山氏は自民党デジタル社会推進本部にあるデジタル人材育成・確保小委員会で委員長を務めている。日本のデジタル人材の現状について片山氏は「IMD(国際経営開発研究所)のデジタル競争力ランキングが落ち続けており、2020年には27位だった」と述べた。日本のデジタル人材が2030年に45万人不足するという試算を併せて紹介した。

 企業のデジタル人材に対する処遇における課題についても指摘した。デジタル人材について経団連の加盟企業にアンケートしたところ、デジタル人材の処遇について「特別な処遇をしているところは回答企業の2割ちょっとしかなかった」(片山氏)という。

 デジタル人材の所在についても「7割がベンダー側に偏在している。日本の一般企業に根差していないことの表れだ」(片山氏)と話した。

 巻き返しに向けてはデジタル人材不足の解消が欠かせず、「今後5年間で175万人のデジタル人材を育成する」と意欲を見せた。

5職種を政府として初定義

 片山氏は「デジタル人材について、政府として初めてジョブディスクリプションの大体の定義を決めた」と述べた。職種は「アーキテクト」「データサイエンティスト」「サイバーセキュリティスペシャリスト」「エンジニア」「オペレーター」の5つだという。

 アーキテクトについて片山氏は「デジタルが分かり、それが何に使えるかも理解した、文理を俯瞰(ふかん)できる有望でハイレベルな人材だ」と説明した。アーキテクトについてはIPAのデジタルアーキテクチャ・デザインセンターで育成する計画だという。「これからは年100人、5年間で500人育成する」(片山氏)。

 データサイエンティストについては、いち早くデータサイエンス学部を作った大学にヒアリングしているという。片山氏は「データサイエンスは、文系の人であっても統計学を勉強してもらえればなることが可能だ。理系人材が少ない日本でも増やしやすい人材だと思う。教養課程で学んでもらったり、入試に取り入れたりすることを進めている。企業から大学へ教師を派遣する取り組みもやっていきたい」と話した。今後5年間で25万人を育成する計画だ。