笠置シヅ子と「パンパン」の友情=牧野宏美(デジタル編集本部)
毎日新聞
2024/3/15 06:00(最終更新 3/15 06:04)
有料記事
1795文字
- ポスト
- みんなのポストを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
人であふれ、熱気に包まれた会場。壇上で大きな花束を抱えた女性に、めいっぱい身を乗り出して近づこうとする女性がいる。
1950年6月13日付の毎日新聞朝刊に掲載された写真だ。
壇上の女性は笠置シヅ子。終戦直後、「ブギの女王」と呼ばれた人気歌手で、放送中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」のヒロインのモデルでもある。
では、身を乗り出している女性は誰なのか。
「姉ちゃん元気で 笠置シズ子を送る夜の女達」という見出しの記事によれば、「夜の女」である。戦後の占領下にあった日本で、米兵らを相手にした娼婦(しょうふ)のことを指す。「パンパン」とも呼ばれた。
笠置シヅ子に熱狂する女性たち
記事は、笠置シヅ子が近く公演で渡米するため、東京・有楽町の日劇で送別リサイタルが開かれたことを伝え、女性たちの熱狂ぶりをこのように描写している。
〈笠置を姉と慕い美しい友情で結ばれている有楽町初め上野、新宿、池袋等のナイト・エンゼル約三百名は早くから予約していたかぶり附きに要領よく陣どつて終始黄色い声援を送り心をこめた花束を贈呈……(後略)〉
派手な格好で米兵らと親しくするこうした女性たちは、当時蔑視されることが多く、彼女たちとスターだった笠置が友情で結ばれていた、というのは意外に感じた。
そもそも「パンパン」が生まれたのは…
この記事は有料記事です。
残り1240文字(全文1795文字)