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日本人、「出世したい人」が14カ国・地域で最低 成長意欲も低い 「一人負け」の背景にある「日本型雇用」

現状への満足なのか、あきらめか。

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 日本は「管理職になりたい」「出世したい」人の割合が14カ国・地域の中で最低──パーソル総合研究所が実施した国際比較調査でこうした結果が出ました。さらに日本は勤務先への満足度が低いのに、転職意向も最低という結果です。パーソル総合研究所は「日本だけ『一人負け』といってよい特異な数字が出た」として、改革が必要だと指摘しています。

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どうしてこうなった……(イメージ画像)
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管理職志向・出世意欲の低さは日本が断トツ(パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」)

 調査は、パーソル総合研究所が実施した「APAC(アジア太平洋地域)の就業実態・成長意識調査(2019年)」で、2月から3月にかけ、中国や韓国、インド、東南アジア、オーストラリアなどアジア太平洋地域の14カ国・地域の就業している人を対象に実施したものです。

 調査結果によると、日本は管理職になりたい人の割合が21.4%と最下位。13位のニュージーランドが41.2%なのに比べてもかなり低い結果となりました。「会社で出世したい」という人も日本は2.9%で最下位でした。

 勤務先以外での学習や自己啓発について、「特に何も行っていない」が日本は46.3%で、14カ国・地域中トップ。2位のオーストラリアと比べて24.8ポイントも差があり、「断トツで自己研鑽していない」という結果でした。

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自己啓発では「読書」などほとんどの項目で日本が最低(パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」)

 勤務先への満足度も14カ国・地域の平均と比べ低く、今の勤務先で働き続けたい人の割合も日本は最下位。その一方で転職意向も最も低く、「勤め続けたいとそれほど思っていないが、積極的な転職も考えていない」という状態です。

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現在の勤務先で継続して働く意欲は低い(パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」)
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転職意向も最低(パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」)

 ただ、日本は転職後に年収が上がった人の割合が4割強と最低で、日本以外はいずれも6割以上が上がっているという結果です。日本は年収が下がった割合(40.4%)と変わらない割合(16.4%)の合計が5割を超えており、「転職が収入増につながりにくい状況」も浮かび上がっています。

 仕事選びで重視する点として、日本は(1)希望する年収が得られること、(2)職場の人間関係が良いこと、(3)休みやすいこと──が上位。年収は各国とも上位ですが、「職場の人間関係」「休みやすさ」がトップ3に入っているのは日本だけで、独特の傾向がありました。

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仕事を選ぶ上で重視するポイントも日本は独特の傾向(パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」)

 パーソル総合研究所の櫻井功副社長は、こうした「『一人負け』といってよい特異な数字」の背景について、「日本型雇用が直面している『機能不全』と切り離すことは極めて難しい」と、以下のように指摘しています。

男性中心で強い同調圧力、自社でしか通用しない業務プロセスの習得を通じた業務遂行能力の長期育成、年功的人材運用──これらが見られる組織において、先輩や上司は20〜30代にとって魅力的なロールモデルとなりにくい。また、40代以降ではほぼ出世の勝負がついており、逆転人事は期待できない。こうした社会では、自ら学んで力を付けて自らの市場価値を上げ、時には転職をも手段としてキャリアを自ら形成していく意識や行動は現れにくい。

(パーソル総合研究所のニュースリリースより)

 こうした状態は国際競争力の低下や産業の地盤沈下をもたらすとして、改革が必要だと訴えています。

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