ファストリ38%減益 柳井会長「戦後最大の危機」
ファーストリテイリングは9日、2020年8月期の最終的なもうけを示す純利益が前期に比べて4割減る見通しだと発表した。海外の「ユニクロ」が成長をけん引してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で欧米店舗の大半が休業している。柳井正会長兼社長は「戦後最大の人類の危機だ」とし、緻密な在庫管理などで収益確保につなげる考えを示した。
純利益(国際会計基準)は38%減の1000億円と、従来予想を650億円下回り、4年ぶりの減益となる。
新型コロナはグローバル展開を進めてきたユニクロに「世界全体がつながっていた」(柳井会長)ことを認識させた。発生地の中国では1月から休業が始まり、一時は約半数の395店舗が休業。感染拡大に合わせて休業地域も広がり、現在は北米と東南アジア・オーストラリアの全店、スウェーデンを除く欧州の全店が休業している。
3月の売り上げは米欧が前年同月比5割減、中国・香港・台湾が4割減まで落ち込んだ。日本も営業時間短縮などで28%減となった。
新型コロナの収束時期など「先は読めない」(柳井会長)が、6月以降に徐々に正常化するとの前提を立てた。中国では足元で休業店舗が5店まで減少、6~8月には前年同月比で10%減から横ばいまで回復する可能性があるとした。欧米は同期間に4割減から横ばいまで幅を持たせた。
中国やバングラデシュでの生産は「現時点では致命的な影響を受けていない」(柳井会長)という。中国は「80~90%くらい回復している」とし、生産拠点の分散効果も出ているという。
景気後退で衣料品の支出が減るのではとの見方に対し、柳井会長は「より生活に密着した服が求められる」という変化が出るとの見方を示した。売り上げ急減に対応して在庫や生産の調整を進めながら、成長が見込める中国やアジア、オセアニアで出店を進め、収益回復につなげる方針だ。
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