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2020年3月22日(日)

都OB22人 天下り

五輪選手村開発関連10社

都有地9割引き 関与か

 2020年東京五輪大会の選手村整備(東京都中央区晴海)の名目で都有地を破格の安値で、売却した問題に関与した不動産会社とコンサルタント会社計10社に、都幹部OB22人が天下りしていたことが21日までに、本紙調査で明らかになりました。


 選手村用地の売却契約は、小池百合子知事と特定建築者11社が2016年に結び、売却額は129億6000万円。1平方メートル当たり9万6784円で、近隣の基準地価の10分の1以下でした。

 本紙は東京都幹部OBの協力を得て、08年度以降の各種OB名簿をもとに、都有地投げ売りに関与した企業への天下り状況を調査。格安処分に関与した協力事業者「晴海スマートシティグループ」(13社)のうち9社に延べ21人の都幹部OBが天下り(うち1人は2社を渡り歩き)したほか、パシフィックコンサルタンツにも2人天下りしていました。(表)

 天下りOBのうち局長級が14人・6割を占め、役職は常務取締役、取締役、参与、顧問、理事など。選手村所管の都市整備局出身が13人いました。

 また工事を請け負った準大手・中堅ゼネコン4社にも、4人が天下りしていました。


解説

官民ゆ着 業者を優遇

 東京都は選手村を東京五輪・パラリンピック大会のレガシー(遺産)としていますが、土地を格安取得した不動産会社が「晴海フラッグ」として販売するマンションは1戸最高2億3000万円。都民要望の強い公営住宅は新築せず、「億ションを五輪レガシーというのはおかしい」と批判が上がっています。

 不動産会社が、なぜ都心の一等地を9割引きで取得できたのか―。そのからくりは、都がパシフィックコンサルタンツに委託した調査報告書をもとに、都有地売却の際に必要な都財産価格審議会に諮らず、デベロッパーに一番利益の大きい市街地再開発事業方式を採用したためです。パシコンは土地価格を110億円とし、これを受けて都は日本不動産研究所に委託した報告書をもとに129億円と設定。「晴海スマートシティグループ」と協議し、密室で同グループに加わる11社への格安処分を決めました。

 都は“土地価格はオリンピック要因を反映した”とするだけで、具体的な説明はしていません。

 都の元幹部は「関係企業に天下りしたOBには、『ドン』と呼ばれる元局長もいる。都有地を9割引きで売り払う合理的な根拠はない。こんなでたらめな処分、私が在職中だったら反対している」と怒ります。

 日本共産党都議団は“大手デベロッパーへの破格の優遇措置で、都民に大きな損失を与える”と追及、土地売買契約額を抜本的に見直すよう迫っています。(岡部裕三)


五輪選手村 都有地9割引き処分

関与企業に天下りした都OB

三井不動産(4)

 都市計画局長

 建設局長

 都市整備局課長

 東京消防庁第三方面本部長

三井不動産レジデンシャル(1)

 港湾局課長

三菱地所(6)

 都市計画局長

 都市計画局理事

 都市計画局長

 知事本局理事

 都市整備局理事

 都市整備局部長

三菱地所レジデンス(2)

 知事本局理事

 教育庁課長

住友不動産(2)

 住宅局長

 都市整備局技監

NTT都市開発(3)

 生活文化局長

 港湾局長

 会計管理局長

野村不動産(1)    

 都市整備局部長

東急不動産(1)    

 建設局所長

東京建物(1)

 財務局理事

パシフィックコンサルタンツ(2)

 下水道局所長

 産業労働局参事

 ※本紙調べ。( )内数字は人数。太字は局長級、▲は同一人物


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