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ジェンダー(社会的に作られた性差)にとらわれない、平等な社会とは?格差解消のための課題を考えます。

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データがあれば… 運転中のけがに男女差 衝突試験は「変化の兆し」

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時速55キロで走らせた車を壁にぶつけ、衝撃や壊れ具合を調べる衝突試験=自動車事故対策機構(ナスバ)のユーチューブ動画から
時速55キロで走らせた車を壁にぶつけ、衝撃や壊れ具合を調べる衝突試験=自動車事故対策機構(ナスバ)のユーチューブ動画から

 自動車を運転する女性は事故に遭った際、男性よりけがをしやすい。海外で指摘され始めたそんな性差が、国内の事故を対象にした毎日新聞の分析でも裏付けられた。安全性を測る衝突試験が、男性を基準に実施されてきたからなのか。国内でも、男女差を意識した新たな試みが始まろうとしている。

 運転中の事故によるけがのしやすさは、男性より女性が1.45倍高いことが、毎日新聞の分析で浮かび上がりました。ハッキリとした原因は分かりませんが、背景には長年「男性目線」で行われてきた衝突試験が影響しているようです。(全2回の第1回))
第2回・ダミー人形は「男性目線」 海外で見直し求める声
本文・運転中のけが 女性は男性の1.45倍
写真特集・運転中のけが 男女差の推移は?

 破片が飛び散り、大きく変形した車体――。衝突試験の映像は、テレビのCMなどで見たことがあるかもしれない。そこで得られるデータが、製品化の「合否」を分けている。国内のメーカーは1994年以降、衝突試験を実施して、道路運送車両法に基づく保安基準をクリアすることが義務付けられてきた。

 「実際にぶつけてみなければ、分からないことがある」

 衝突試験の重要性を、一般財団法人「日本自動車研究所」(茨城県つくば市)の佐藤房子主任研究員はそう語る。

 研究開発の段階では、3Dモデルを用いたコンピューターのシミュレーションも多用される。それでも、実際の車にダミー人形を乗せて壁や台車にぶつけ、壊れ具合やかかった衝撃の数値を調べることは、安全性能を測るうえで不可欠だという。

 実施される実車試験は、車の前面を壁に衝突させる▽前面の運転席側を壁に衝突させる▽側面に台車や電柱を模したポールをぶつける――の3種類。ダミーの頭や首、胸にどういう衝撃がどの程度かかったか。衝突後に燃料がどの程度漏れたか。測定する項目は多岐にわたる。

 一方で、運転席に乗せるダミーは、いずれの試験でも成人男性を模したタイプに限られてきた。国土交通省車両基準・国際課の担当者はその理由を「体格が大きい人のほうが、衝突時の可動幅は大きくなる。運転席では、エアバッグが出ずにハンドルにぶつかった時の衝撃も、大きな人のほうが強くなるため」と説明する。

 1回の試験で新車1台が廃車になるため、ダミーのバリエーションや試験回数を増やそうとすると多額のコストがかかるという実情もある。さらに、そもそも車は国をまたいで製造・流通するため、衝突試験についても国連…

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