Palmアプリ数百本がスマホで利用可能に。Internet Archiveがブラウザ版エミュレータ公開

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テクノエッジ編集長。火元責任者兼任 @Ittousai_ej

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電子図書館 Internet Archive で、1990年代に発売された手のひらコンピュータ Palm 用のアプリやゲーム数百本がブラウザからそのまま利用できるようになりました。

スマートフォンのブラウザでもタッチで、雰囲気を重視したいならスタイラスでも操作できるため、四半世紀前の最新手のひらコンピュータ向けアプリやゲームを、現代の手のひらコンピュータで楽しめます。

Palm は1996年の初代『Palm Pilot 1000 / 5000』から始まった手のひらサイズのコンピュータ。当時はPDA (パーソナルデジタルアシスタント)あるいは携帯情報端末などと呼ばれていた分野です。

携帯して手持ちで使えるコンピュータとしては、さらに四半世紀遡った1970年代のLSI電卓から進化した「電子手帳」の流れがあり、1990年代にはすでにアップルの Newton など、各社が多機能な「PDA」製品を投入していました。

そうした状況でPalm社のPalmシリーズが大ヒットした背景には、シンプルで軽く安定したOSや、画期的な手書き入力システムGraffiti、安価で長時間駆動するハードウェアなど様々な理由がありますが、なかでもアプリの開発が比較的容易だったこと、個人も含めて自由にアプリを開発して配布できたことで、純正の標準アプリ以外にも豊富なサードパーティー製のPalm用アプリやゲーム、「Palmware」が盛んに作られたことが挙げられます。

日本でも有志のハッカーにより早くから日本語化が進み、Palm社純正デバイス以外にも同じOSで動くHandspring Visor やソニーCLIEが販売されたことから、スマートフォンのさきがけのようなモバイルアプリの世界が広がっていました。(組み込みの公式アプリストアがなく、サードパーティーアプリを含めたエコシステムが回るに至らなかったのは時代的な限界ですが)

というわけで栄え滅んだ「Palmware」の世界は、その一部が Internet Archiveに収蔵されています。コンピュータ史家でアーカイビストの Jason Scott 氏が「まだ完全じゃないから誰にも言うなよ?」と繰り返し念押ししつつ、わざわざ告知したところによれば、ブラウザで動くPalmエミュレータを収蔵ソフトのページに埋め込んだことで、コレクションをそのまま動かせるようになりました。

ただし現在はまだソフトの作者や説明などのメタデータが揃っていないため、整備する協力者を募っています。

インターネットアーカイブ収蔵ソフトの扱いは、権利的に微妙かつ各国法が絡んで複雑なところではありますが、往時を懐かしみたい、体験したことはないけれど古の歴史を紐解きたい、スマホのアプリでしっくり来るものが25年経っても見つからないのでPalmアプリをまた使いたい、というかたはアクセスしてみてください。アーカイブを認めたくない権利者は申立もできます。

なおブラウザ上で動くエミュレータは、インターネットアーカイブ側にユーザーのデータを保存してくれるわけではありません。

特にスマホ等のブラウザでは状態を常に維持してくれるとは限らず、バックグラウンドで捨てられて再読み込みになることもあるため、アプリやゲームを真面目に進めてひと休みするときれいサッパリ消える可能性があります。さきほど宇宙交易ゲーム Space Trader を夢中で進めて財を築き、宇宙船をアップグレードしたところで初期化されて抜け殻になった現場からお伝えしました。

真面目に?Palmアプリを使いたいなら、セッションやファイルの保存、ネットワークなどフル機能版のオンライン Palm OSエミュレータ CloudpilotEmu を利用する手もあります。

余談。ソニーが販売していたPalm OSデバイス「パーソナル エンターテインメント オーガナイザー」CLIE<クリエ> PEG-SJ33 のデザインを手掛けたのは、「5次元物体」ことプレイステーション5と同じデザイナー森澤有人氏。ハードな核に曲面の殻を被せるスタイルは言われてみれば同じDNAです。


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《Ittousai》
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