江藤農相「コメは買ったことない」発言を撤回

江藤農林水産大臣は18日に佐賀市で行われた講演で、高値が続くコメに関連して、「私はコメは買ったことはありません。支援者の方々がたくさんコメをくださる。売るほどあります、私の家の食品庫には」などと述べました。

全国のスーパーでのコメの販売価格の平均は、政府が備蓄米の放出を始めて以降も、去年の同じ時期の2倍程度の高値が続いています。

江藤農林水産大臣は、18日に自民党佐賀県連が佐賀市内で開いた「政経セミナー」で講演し、精米せずに玄米のままであれば備蓄米の流通を加速できるという趣旨の話をする中で、「私はコメは買ったことはありません、正直。支援者の方々がたくさんコメをくださる。売るほどあります、私の家の食品庫には」などと述べました。

そのうえで、政府の備蓄米の放出に関連して、「これまで3回行い、31万トンを出したが、価格が下がらない。大変責任を感じている。流通は難しい。たくさん出せば、値段が下がるというわけではない」などと述べました。

江藤農相釈明「消費者への配慮足りなかった」記者団に

江藤農林水産大臣は19日午後、記者団に対し「玄米でもぜひ消費者の方々には手に取ってほしいということを強調したかったのでそういう言い方をした」と釈明しました。

そのうえで、実際には定期的にコメは買っていると説明し、「私の実態と違うような言い方をしてしまってお騒がせしてしまったことは大変遺憾に思っている」と述べました。

そして、「消費者の方々に対する配慮が足りなかった」と述べたうえで、発言を撤回するのか問われたのに対し「撤回というより修正だ。私が言ったことについては正確性を欠いたということだ」と述べました。

参院決算委でも釈明「発言は不適切 修正し撤回した」

江藤大臣は参議院決算委員会で、「『コメを買ったことはない』と言ったのは実は間違いで、先週も近所のスーパーで買ったばかりだ。なかなかコメが手に入らず、ご苦労されている方々にとって私のような立場にある人間がコメがいっぱいあると言ったことで、非常に嫌な思いをされたことについて、発言は不適切だったと思っている」と述べました。

その上で、「先ほど記者たちから会見を求められ、発言については修正し、撤回させていただいた」と述べました。

また、発言の趣旨については、「いただいたコメは玄米で、そのつど精米して食べている。今後、店頭に並ぶ備蓄米はすべてが精米されているとは限らず、玄米の場合もあるが、ぜひ利用いただきたいとお伝えしたくて申し上げた」と釈明しました。

【動画】石破首相と会談後「大変厳しくお叱り受けた」陳謝も

ノーカット動画(4分58秒)

発言に関連して、19日、石破総理大臣と会談したあと、記者団の取材に応じ、「石破総理大臣から、今回の私の発言は消費者の方々に対しても生産者の方々に対しても大変不適切であると、大変厳しくお叱りをいただいた。今回のことをしっかり全面的に反省し、新しいパッケージに基づいて何としてもコメの価格が下がるよう引き続き努力をするよう言われた」と述べました。

また、自身の進退を問われたのに対し、「石破総理大臣の意向で、『辞職すべきだ』と言われればそうするつもりで官邸に来たが、石破総理大臣と官房長官からは引き続きしっかりと、大いに反省した上で全面的に発言を撤回して職務に励むよう言われた」と述べました。

その上で、江藤大臣は、「全面的に撤回をして、皆さま方にはおわびを申し上げたい」と陳謝しました。

石破首相「大変申し訳なく深くおわび」

江藤農林水産大臣のコメをめぐる発言について石破総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対しコメの価格高騰が続き消費者が不安に思う中で極めて問題だとして陳謝し、江藤大臣本人から状況を聴く考えを示しました。

この中で石破総理大臣は江藤農林水産大臣のコメをめぐる発言について「任命権者として大変申し訳なく本当に深くおわびを申し上げる。コメが店頭になく、あっても非常に高く、消費者が非常に怒り不安に思っている。極めて問題だ」と述べました。

また、江藤大臣が支援者から受け取ったコメに「黒いものや石が混ざっている」と発言したことについて「一生懸命、喜んでもらおうと作って持って行った生産者に申し訳ないことであり、二重の意味で大変申し訳ない」と述べました。

一方、記者団が江藤大臣を続投させるか質問したのに対しては「江藤大臣に官邸に来てもらい本人から状況を聴くことが重要だ」と述べました。

また、19日夕方開かれた自民党の役員会でも「農林水産大臣の発言は、極めて重大なものだと思っている。コメが高いという時にあって、国民に大変、申し訳ないと思っている。厳重に注意したい」と述べました。

林官房長官「緊張感を持ってしっかりと対応を」

林官房長官は午後の記者会見で「江藤農林水産大臣は『定期的にコメを買っており、実態と違うような言い方をしてしまい、お騒がせしたことは大変遺憾だ』と述べている。また、日々の小売り価格の動向についてみずからスーパーに赴き価格を確認するなど注意深く把握している。スーパーなどで備蓄米が広く店頭に並び多くの消費者が放出の効果を実感できるよう緊張感を持ってしっかりと対応してほしい」と述べました。

また、記者団が選挙区内の有権者から無償でコメの提供を受けた場合、違法性はないか質問したのに対し「個別の事案が政治資金規正法などの規定に該当するか否かについては、具体的な事実に即して判断されるべきで、答えは差し控えたい」と述べました。

自民 森山幹事長「配慮欠いた発言 しっかりと対応を」

自民党の森山幹事長は、記者会見で「江藤農林水産大臣の発言は、配慮を欠いた発言であったと受け止めている。本人はみずからの発言を反省し、発言を取り消しているので、今後も備蓄米の売り渡しの状況などを注視し、効果分析なども適切に行ってもらい、コメの価格が正常な形となるようにしっかりと対応してほしい」と述べました。

立民 小川幹事長「不適切 不見識で看過できない」

立憲民主党の小川幹事長は記者団に対し「発言は極めて不適切、不見識で看過できない。厳格に対処してもらわなければ、場合によっては進退を問われかねない深刻な事態だ。石破総理大臣には厳しい事実関係の調査と処断を求める」と述べました。

その上で、江藤農林水産大臣に対する不信任決議案の提出については「可能性を否定するわけにはいかない。こういう発言が飛び出る大臣が実行しようとする政策に果たして信任を置くことができるのか。この大臣のもとでコメにまつわる政策を進められる環境にあるのかが問われている」と述べました。

維新 前原共同代表「不信任に値するのでは」

日本維新の会の前原共同代表は記者団に対し「消費者に寄り添っていなかった本音が出た発言で、猛省を促したいし、石破総理大臣には本当に大臣として適切な人なのかどうか、国民に説明責任を果たしてもらいたい」と述べました。

その上で「党として何か決めているわけではないが、不適切を超えた妄言で備蓄米の放出でも結果が出ていないので、不信任に値するのではないか。政治は結果責任であり、出処進退は自分で判断されるべきだというのが率直な思いだ」と述べました。

公明 斉藤代表「注意して発言する立場にある」

公明党の斉藤代表は記者団に対し「発言の全体を承知していないのでコメントは差し控えたい。ただ、いま最も国民が関心を持っている政策を担当する大臣として、誤解を生むような発言は控え、注意して発言する立場にある」と述べました。

国民 玉木代表「所管大臣として不適切」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「いま、コメが高くて、なかなか手に入らなかったり、思った量が買えなかったりする国民がたくさんいる中で配慮に欠いた発言だ。『売るほどある』と言っていたが、『売るほどあるなら売ってくれ』と多くの国民に思われても仕方がない発言で、所管大臣として不適切だった」と述べました。

その上で「ぜひ国民が求めている適正価格で広く行き渡るような政策を速やかに打ってもらいたい。大臣を辞めるような話ではないが、きちんと仕事をしてほしい」と述べました。

共産 小池書記局長「アウトで1発退場だ」

共産党の小池書記局長は記者会見で「もうアウトで1発退場だ。コメが足りず、価格が高いという庶民の気持ちが全く分からないのだろうし、対策が後手後手になってきたのも、こういう見方しかできない人が大臣であることの結果だ。農林水産大臣の任に値せず、石破総理大臣は解任すべきだ」と述べました。

その上で、江藤農林水産大臣に対する不信任決議案の提出については「当然、選択肢になり、これからいろいろな相談をしていくことになる」と述べました。