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4000人集まった進水式、水素社会に向けた第一歩

水素を運ぶ船「すいそ ふろんてぃあ」が注目される理由

2019年12月27日 18時00分更新

文● 貝塚 編集● ASCII

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世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」

 川崎重工業が12月11日、世界初をうたう液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の命名・進水式を実施。全国からマスコミ、一般来場者、関係する国家からの来賓など、およそ4000名が川崎重工業の神戸工場に集まった。

 ガス状の水素をマイナス253℃に冷却し、体積が期待の800分の1となった液化水素を、安全・大量に、長距離、海上輸送するために開発したもの。今後は、播磨工場で製造している1250立方メートルの真空断熱二重殻構造の液化水素貯蔵タンクを搭載する予定で、2020年秋ごろに竣工予定としている。

世界初をうたう液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」

 竣工後は、2020年度に実施が予定されている国際水素エネルギーサプライチェーン構築に向けた技術実証試験に投入され、豪州で製造された液化水素を日本に輸送する。

水素が、地球温暖化対策の鍵に

 水素が注目を集めている大きな理由は、主に地球温暖化対策だ。水素は使用時に二酸化炭素などの温室効果ガスが発生しない特性をもち、発電や燃料電池自動車などでの活用が期待されている。

 関連した動きとして、2016年に川崎重工業、岩谷産業、シェルジャパン、電源開発の4社が協業し、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構「HySTRA」を結成。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の支援を受けながら、水素を調達するためのエネルギーサプライチェーンの構築に向けた技術開発を進めており、現在では、液化水素の受入基地を兵庫県神戸市に、褐炭ガス化設備を豪州に建設している。

名称も、12月11日の進水式ではじめて明かされた

 また2018年からは、川崎重工業、岩谷産業、Jパワー、丸紅株式会社、AGL Loy Yang Pty Ltdの5社が合同でコンソーシアムを組み、豪州連邦政府、ビクトリア州政府の補助を受けながら、ガス精製設備、水素液化・積荷基地も建設している。

すいそ ふろんてぃあは、水素社会に向けた大きな一歩

 水素エネルギーサプライチェーンの構築に関わったNEDOの次世代電池水素部 燃料電池・水素グループの主任研究員 横本 克巳氏に、すいそ ふろんてぃあの意義、水素社会に向けた今後の歩み、課題について伺う機会を得た。

ーーNEDOでは、すいそ ふろんてぃあに搭載される液化水素貯蔵タンクの開発を助成されたと伺いました。まず、液化水素とはどんなものなのでしょう?

「液化水素は、無色透明の物質です。水素は利用時に二酸化炭素が発生しないので、環境負荷が小さく、石油やガスなどの化石燃料に代わる、次世代の代替エネルギーとして期待されています」

ーー将来的には、石油やガソリンのような存在になる可能性があるということですか?

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