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「この仕事、やばくね?」 コロナ補助金に政治圧力

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事業再構築補助金の支給業務を担うパソナグループ=2019年4月15日、曽根田和久撮影
事業再構築補助金の支給業務を担うパソナグループ=2019年4月15日、曽根田和久撮影

 民にできることは民に――。小さな政府を志向した一連の改革で進んできた国の業務の民間委託。しかし、政策の遂行役となる企業の内幕をのぞくと、血税を原資にした仕事を代替する重圧と混乱が広がっていた。民が担う公共。その限界が透ける。【遠藤修平、土谷純一】

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補助金に群がる政治家

 「例のリストを見たよ。この仕事、やばくね?」。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた企業の業態転換を促す事業再構築補助金。支給業務を担う事務局オフィスの喫煙所で支給の妥当性を審査する従業員らが声を潜めた。

 「例のリスト」とは、「議員案件」の一覧。事務局に勤めていた元従業員が毎日新聞の取材に自身の経験を証言した。それによると、「議員案件」と記したエクセルシートに掲載されていた企業の数は数十~約100件。国会議員や秘書らから問い合わせを受けた案件のことだという。「『議員案件』が(手元に)来た時は管理職に対応を委ねることになっていた」と元従業員は明かす。

 事業再構築補助金は2021年3月に創設され、1社あたり最大5億円を支給する仕組み。政府はこれまでに約2兆4400億円を予算化しており、事務局業務は人材派遣大手パソナに委託している。同社によると、事務局は昨年12月現在…

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