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もはや「iPhoneのOSはアドウェアと化してしまったのではないか?」との意見がネットで激論に


iPhoneのOSであるiOS 13の純正アプリに表示される広告の多さについて、ミニブログサービスTumblrのエンジニアであるスティーブ・ストリザ氏が「これではもうアドウェアです」と苦言を呈して、波紋を投げかけました。この主張に対し、インターネット上の意見は賛成と反対の両方に割れています。

The Paywalled Garden: iOS is Adware - Steve Streza
https://stevestreza.com/2020/02/17/ios-adware/

Apple is pushing its services, but iOS is not adware yet
https://appleinsider.com/articles/20/02/19/apple-is-pushing-its-services-but-ios-is-not-adware-yet

Michael Tsai - Blog - The Paywalled Garden: iOS Is Adware
https://mjtsai.com/blog/2020/02/17/the-paywalled-garden-ios-is-adware/

Apple Storeからダウンロードしたアプリの中には広告を表示させるものが多く存在しますが、ストリザ氏が問題視しているのが「純正アプリに表示されるAppleの広告」です。ストリザ氏が手持ちのiPhoneを工場出荷時の状態に戻してAppleの純正アプリを初回起動したときの挙動を確認してみたところ、「ミュージック」アプリをはじめとする多くの純正アプリでAppleのサービスの広告に直面することになりました。

例えば、「ミュージック」アプリを初めて開くと空のライブラリが表示されるので、検索欄をタップします。


歌手や曲の名前を入れると検索結果が表示されるので、どれかを選ぶと……


曲の詳細などではなく有料プランの広告が表示されます。


今度は検索を終了させて下の「For You」をタップ。すると、「Try It Now(今すぐお試しください)」と書かれたボタンがあるのでタップしてみると……


いきなり有料プランを選択する画面に遷移します。ストリザ氏は「1つ前の画面のどこにもサブスクリプション(有料購読)機能だなんて書いてありません」と指摘しています。


下の「Browse(見つける)」タブの画面には、曲が聴けそうな雰囲気がありますが、基本的にどこをタップしてもスマートフォンの画面全体を覆い尽くす広告にたどり着いてしまいます。


このことからストリザ氏は「『ラジオ』タブにはいくらか無料のコンテンツがありますが、『For You』タブと『見つける』タブは完全に広告です」とコメント。しかも、うっかり有料プランの無料登録をしてしまってからキャンセルすると、もう一度登録をするよう求める通知まで来てしまうと指摘しました。


これは「TV」アプリや……


「Wallet」アプリ


日本ではまだリリースされていない「Apple News +」アプリ


「Apple Store」アプリの「Apple Arcade」タブでも同様でした。


これらのApple純正アプリの広告についてストリザ氏は「もちろん、Appleにはユーザーに自分のサービスを知らせる権利がありますし、iOSのアプリが完全に広告だという私の意見への反論もあることでしょう」と一定の理解を示しつつも、「iPhoneユーザーがとうの昔にお金を出して買ったデバイスに表示される、無数の広告のほとんどは非表示にすることができません。非表示にできない広告を大量に表示するソフトウェアを、専門用語で『アドウェア』といいます」と述べました。

こうした実感を抱いているiPhoneユーザーはストリザ氏だけではありません。元ソフトウェア開発者でベンチャー投資家のM・G・シーグラー氏はTwitterで「うわ、これは行き過ぎですね。『Wallet』アプリを起動したら、ほぼ全画面の自社広告が……」と投稿。

Wow, this is... aggressive. An almost full-screen self-ad on launch of the Apple Wallet app... pic.twitter.com/v5ABveCx7P

— M.G. Siegler (@mgsiegler)


Apple関連の情報サイトTidBITSのジョッシュ・センターズ氏は、自宅でApple TVを使用中に子どもにあまり見せたくない映画「ジョーカー」がしつこくオススメされた経験から、「Appleがユーザーの役に立つように『TV』アプリを設計していないのは残念です。そうする代わりに、Appleはアプリをユーザーにコンテンツを押し付けるための販促手段にしました」と述べています


デザイナーでフロントエンド開発者のニック・ヒーア氏は、「ストリザ氏がアドウェアと呼んだのは大げさだと思いますが、Apple製品を使っていると、『買い物客にやたらクレジットカードを作らせたがるデパート』にいる気分になってきているのは否めません」とコメントしました。

また、Appleと他社を比較した結果から、Appleの姿勢を問題視する声もあります。IT系ニュースサイトのTechSpotは、「Windows 7を購入した多くのWindowsユーザーは、Windows 10へのしつこい無料アップグレードでMicrosoftの広告戦略に悩まされました。しかし、Microsoftは一応『ヒント』や『提案』という形を取っていたので、ユーザーはなんとか耐えていたわけです」と指摘


OS関連のニュースサイトOSnewsの編集長を務めるThom Holwerda氏はTwitterで、「奇妙な話ですが、Appleは広告会社でもないのに製品に大量の広告を表示させています。ところが、どう見ても広告会社のGoogleがAndroidに表示させている広告は、事実上ゼロです」と投稿しました。

The weird reality nobody wants to talk about: Apple, claiming not to be an ad company, puts tons of ads on its devices, while Google, definitely an ad company, puts effectively zero ads on Android. https://t.co/e5VuruvSEy

— Thom ????❄️⛄️ Holwerda (@thomholwerda)


こうした一連の議論の中で、インターネット上での意見は2つに割れています。Apple関連のニュースを取り扱う9to5Macがストリザ氏の主張を取り上げた記事でアンケートを実施したところ、その結果は「絶対そうだ」が34.14%、「ややそう思う」が24.58%で合計が58.72%と、過半数がストリザ氏を支持しているというものでした。


その一方で、「そうでもない」の25.11%や「絶対そうではない」の10.85%を合計すると35.96%と、3割以上がストリザ氏の意見に反対しています。


iOSをアドウェア呼ばわりする意見に反対する姿勢を取っているのが、Apple関連情報専門のニュースサイトAppleInsiderのウィリアム・ギャラガー氏です。ギャラガー氏は「私たちはYouTubeでも、5秒たたないとスキップできない広告に待たされています。つまり、Appleは、誰もがやっているようなことをやっているだけです。私たちがそれを好きになる必要はありませんが、完全にアドウェアだという考えは無意味な誇張表現です」と述べました。

そんなギャラガー氏も、無料で読めると見せかけて実は有料だという「Apple News +」アプリには閉口しているとのこと。その一方で、「私は長年のAppleユーザーとして、Appleの発表やイベントは欠かさずチェックしていますが、ほとんどの人はそうではありません。Appleが素晴らしいサービスを開始しても、多くの人にはそれを知るすべがないわけです。そういう人にAppleがサービスのことを伝えるには、Appleのデバイス上で通知するのが一番です」と述べて、Appleの広告は自社サービスをユーザーに知らせる正当な方法であるとの見方を示しました。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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