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LINEヘルスケアは第2の「WELQ」か。背景には収益化への過剰なプレッシャー?医師はサービスを問題視

医師が相談者に「死ぬのが正解」「低レベル」といったメッセージを送った問題で注目を集めたLINEヘルスケア。この問題は規約に違反した医師だけの問題なのか。取材の中で見えたのは、サービスの構造的な課題と収益化へのプレッシャーだ。

オンライン健康相談のサービス「LINEヘルスケア」で医師が相談者に「死ぬのが正解」「低レベル」といったメッセージを送った問題が波紋を呼んでいる。

「LINEヘルスケア」を運営するLINEヘルスケアは8月2日、「LINEヘルスケアに登録している医師1名において、お客様に対して、利用規約違反の行為が確認されました」とした上で、この医師を利用停止処分としたことを発表した

同社は今後はより一層、モニタリング体制を強化することで再発防止策を徹底していくとしている。

しかし、この問題は規約に違反した医師だけの問題なのだろうか。

専門家は「金銭的な報酬目的でオンラインの医療相談を1件700円で請け負う医師は、それほどはおらず、いたとしても質の保証が難しい」と語る。

LINEという生活に浸透したツールの中で起きた、今回の出来事。

ヘルスケアサービスにおいて、不適切、不正確な情報を伝達することは命に関わる。そうした現実をどこまで受け止め、事業を行っていたのか。取材の中で見えてきたのは、採算性を求めることによって生まれた歪みだ。

LINEヘルスケアとは?問題の経緯は?

「LINEヘルスケア」は、LINEと医療情報専門サイト「m3.com」を運営するエムスリーによる合弁会社が運営する、LINE上で利用できるオンラインの健康相談サービスだ。

内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科に対応しており、利用者は相談内容や診療科から医師を選んだ上で、「いますぐ相談する」のか、「あとから回答をもらう」のか相談方法を選択し、体の不調などについてLINEのトーク画面で医師に直接相談することができる。

このサービスが提供するのは健康相談であり、診療行為ではないという位置付けのため注意が必要だ。

経済産業省の「令和2年度補正遠隔健康相談事業体制強化事業」(上限1億円/件)に採択され、8月31日まで無料でオンラインでの健康相談を提供している状態だ。

「2月の相談件数は前月比40倍。3月も引き続き増加傾向にあり、現状のペースを維持すれば4月は月に10万件規模の相談件数に達する見込みです」

4月の段階で、担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、このように回答していた。

(1)経産省の委託を受け、無料で相談できるようになったこと
(2)外出自粛の呼びかけ、緊急事態宣言の発令

同社はこうした条件が重なり、利用者が急増したとしている。詳細な医師の数を明かすことはなかったが、急ピッチで対応できる医師の人数を増やし、数百名単位の医師が対応に当たっているというのが、当時の担当者の説明だ。

品質の維持のためには、以下のような対策を実施しているとしている。

(1)医師の本人確認、医師免許確認の徹底
(2)厚労省のガイドラインをベースに作成した独自ガイドラインに基づくレクチャー
(3)24時間365日体制での相談への返答内容のモニタリング

今回、問題の発端となったのは、8月2日に1人の医師がTwitterに投稿した利用者の医師のやりとりの画像だ。そこには医師が相談者に対して、「死ぬのが正解」「低レベル」などと回答する様子が記録されていた。

ネット上でこの情報が拡散する中、同社は8月2日、謝罪し、今後の対策強化を打ち出した。

「コロナ相談歓迎」と掲げた医師の専門分野は皮膚科

4月5日に突然の微熱が出たため、LINEヘルスケアを利用した女性は「二度と使うことはないと思い、通知も面倒なのでブロックして、現在は使っていません」とBuzzFeed Newsの取材に答える。

当時、女性は数日前に夫が勤務する会社で新型コロナウイルスの感染者が出たため、相談できる医師を探していた。

保健所には問い合わせをしたものの、対応してもらうことはできなかったという。

目に入ったのは「コロナ相談歓迎」とプロフィールに記載していた1人の医師だった。女性は「今すぐ回答がもらえると記載していたため、思わず飛びついてしまった」と振り返る。

その医師のプロフィールに記載されていた専門分野は皮膚科だったという。

「今思えば、相談相手を間違ったのだと思います」

「事前に既往歴や服薬情報などを入力しましたが、質問した内容に対して的確な答えが得られず、結局は『保健所に相談してみてください』と言われて、相談は終了しました」

「熱が辛いので薬を飲んでいいのかどうかを知りたいと思い、相談をしたのですが回答は得られないままです。インフルエンザの場合、解熱剤であるアスピリンを服用しない方がいいといったことがありますよね。なので、コロナに関しても同様のリスクがあるのか知りたいと思っていました」

こうした体験を経て、女性はLINEヘルスケアに「医師がちょっと空いた隙間時間で小遣い稼ぎができるサービスという印象を持っている」と語った。

「相談者が死んでも問題ないと考えているのか?」

LINEヘルスケアの構造的な課題を指摘する医師がいる。「やさしい皮膚科医」(@S96405539)というアカウントを運営する男性医師・医学博士だ。

男性医師は、4月の段階でこのサービスを実際に利用し、その中で感じた違和感をnoteで発信していた。

「調べれば調べるほど、危険なサービスなのではないかと思いました」と彼は言う。

「オンラインでの診療や健康相談が広がることは望ましいとは思います。ですが、LINEヘルスケアが医師に支払う報酬は、いますぐ相談/予約相談で1件あたり30分1400円、あとから回答で1件あたり700円と安価であり、この報酬額で優秀な医師を十分に確保できるとは考えられないです」

医師の中には常勤の病院に勤務するだけでなく、他の病院でバイトをしている医師も少なくない。そうしたアルバイトで勤務する際の時給の相場は1万円ほどだという。

「そのような中で、1件あたり最大1400円のバイトに登録する医師とは一体どのような医師なのか、という疑問があります」

また、LINEヘルスケアの場合、やりとりできるのはテキストのみだ。自身の診療科である皮膚科の場合、写真を送ることもできないサービス内容に疑問を感じたと明かす。

「皮膚科の場合は特に患者さんの皮膚を見て、触って、初めて診断が可能になります。どちらもできない中での健康相談はきわめて一般的な回答にとどまります。有償に値するような返答が可能なのでしょうか」

男性医師は、今回、皮膚科において間違えやすい質問をLINEヘルスケアで対応する医師に尋ねてみたと語る。

「皮膚科の中でも相談内容として多いのはニキビに関するものです。そして、診療の中では薬の使い方に関する指示はとても重要な要素です。一つひとつの使用は問題ないが、混ぜるとダメなケースもある。そうしたことをどこまで知っているのか、質問をしてみました」

「べピオ」そして「ゼビアックス」という有名なニキビ薬を同じタイミングで塗っても大丈夫なのか?

返ってきたのは、「連続して塗っていく感じで大丈夫ですよ」という誤った答えだった。

「この薬は同時に塗ると、ゼビアックスが固まり、効果が落ちてしまいます。そのため、時間帯を分けて使うことが原則です。念の為に製造メーカーにも直接確認しましたが、やはり問題が有る使用法とのことでした」

今回の誤りは薬の塗り方に関するものだが、健康に関する質問の中には命に関わるものも少なくない。

自身の体験をもとに、男性医師は「相談者が死んでも問題ないと考えているのか?サービス運営者はあまりに無責任」と苦言を呈す。

「これは病気でしょうか?と相談をして、病気ではありませんと言われて、そのままにしていたら、実は皮膚がんでしたというケースも起こりうる。そのような形で、間違ったアドバイスで病気が悪化することや、病気が見落とされるリスクを野放しにすることは危険だと思います」

医師による専門的な相談を、誰がどのようにモニタリングするのか?

本人確認、医師免許の確認、レクチャーの実施、そしてモニタリングとLINEヘルス側が提示する質を担保する取り組みに対しても医師は疑問を呈す。

「そこで医師により行われている医療的な回答を、誰がどのように正確であるかどうかモニタリングするのでしょうか?レクチャーというのも、意味が不明です。それにより、医療スキルが向上することは考えられません。何のためのものなのでしょうか」

LINEヘルスケアの求人募集には「これらの科⽬における専⾨医資格等は必要ございません」「相談対応可能な診療科を⾃⼰申告いただきます」という文言が記載されている。

実際、サービスを見て回ると、内科・小児科・産婦人科・整形外科・皮膚科・耳鼻咽喉科というLINEヘルスケアがサービスを提供する全ての科の診療が可能であると自己申告している医師を複数人確認することができる。

中には、まだ医師として働き始めて4年目と、明らかに経験に乏しいものもいると男性医師は指摘する。

日本の医療界では自由標榜は違反ではない。

「皮膚科医であっても脳外科のクリニックを開業することは法律上は問題がないとされている」と前提を整理した上で、「質を担保する、と言うのであれば、最低限その診療科を診るためには専門医資格を求めるべきだと考えます」と指摘する。

「LINEヘルスケアのような大きな集客力を持つサービスを、現在の形で提供したいならば、『非専門家がやっているので返答が正しいかは保証できませんが、もし健康被害が生じても責任は取りません』と誰にでもわかる場所に明記すべきです。その医師が適格であるかどうか、どのように判断するのか疑問です」

また、医師のプロフィールの「資格」の欄に学会名を記載することは悪質だと問題視している。

「資格を示す欄に所属する学会の名前を記載しているケースも少なくない。学会にはお金を払いさえすれば参加できるので、『学会に所属していること』と『その分野に精通していること』は無関係であり、資格としての意味合いは有りません。でも、それを一般の方が見た場合、その学会に所属しているということはその分野の専門家だと思いますよね。あのような情報を意図的に示すのは誤解を与えかねず問題です」

その上で男性医師は、こうしたサービスを利用する上で以下の点について留意してほしいと強調した。

「一般の方に知っておいていただきたいのは、医師であるからといって、誰もが全てのことに詳しいわけではないということです。その診療科の専門医であれば、信頼できる可能性はある程度高いとは思いますが、ガイドラインや論文などの適切なソースがなければたとえ医師の発言であっても必ずしも鵜呑みにしないほうが良い」

「また、ニキビのような病気に対しては、日本皮膚科学会がガイドラインを無料で公表しており、誰でもインターネット上で最新の情報を確認することが出来ます。ニセ医学を信じる前に、ガイドラインなどの公的情報を自分でも確認してみることも重要です」

文字情報だけで「大丈夫です」と言えるのか

『新装版「ニセ医学」に騙されないために』『医師が教える 最善の健康法』などの著書がある、内科医の名取宏医師は、「金銭的な報酬目的でオンラインの医療相談を1件700円を請け負う医師は、それほどはおらず、いたとしても質の保証が難しいでしょう」と指摘する。

実際に、名取医師も何度か医師のコミュニティサイトでLINEヘルスケアに参加する医師の募集を行ってるのを目にしたという。しかし、「時給換算では安いと言わざるを得ない」と明かす。

「ちゃんと回答している先生もいるでしょうが、真面目な方はボランティアだと考えてやっているのでは。そうではないドクターも少なくないでしょうし、その区別を相談者さんがすることは難しい状況です」

「オンラインでの健康相談を真面目にやるほど、その医師の評価は下がるのではないか」、名取医師は言う。それはなぜか。

「専門的な知識を要求されることについて、本当に真面目に相談に乗ろうとしたら、『念のために病院へ行ってください』と伝えるケースは少なくない。文字情報だけで判断をして、『大丈夫です』と断言することは非常に難しい。我々医師は、基本的には患者さんの顔や表情を見て、診療を行います」

「もしも、健康相談をしたのに、結局『病院へ行ってください』と言われたら、きっと患者さんは損をしたと思いますよね。でも、実際にはその対応は適切なものです。しかし、どの医師がより良い回答をしてくれるのか、相談者の側からは判断が難しいのが現状です」

知恵を絞るべきは、抜け道探しではない

もしもトラブルが起きたとき、誰が責任をとるのか。仮に医師が訴訟を起こされた場合、「診療行為であれば重大な過失でない限りは医師賠償責任保険の適用範囲内となり、ある程度の補償を受けることができる」。

しかし、この健康相談は診療行為ではないとされているため、補償をする仕組みもない。医師にとっても不安な仕組みだ。

「通常の医療機関にかかる場合にも、悪い医師に当たる確率もあるとは思います。ですが、こうしたオンラインでの健康相談と明確に違うのは、保険診療をしている限りは無茶はできないということです」

「カルテを記載し、治療費の7割は保険者からもらう。デタラメな治療と認定された場合、この7割分が支払われないということもあります。つまり、国民皆保険の仕組みはある意味で、最低限の質の担保を行っているとも考えられる」

実際に血液クレンジングなど、その有効性に疑義が呈されている療法の多くは3割負担の通常の医療機関ではなく、自費診療のクリニックで提供されている。

「ですが、この仕組みを適用することがない、今回のようなオンラインでの健康相談の場合、自費診療と同等か、それ以下のサービスになりかねないと思います」

DeNAが運営していたウェブメディア「WELQ」の問題や今回のLINEヘルスケアなど、IT企業が運営するヘルスケアサービスにおいて、度々、重大な課題が顕在化する。

名取医師はこうした現状を「抜け道を探っているようだ」と表現する。

「WELQも、そして今回のLINEヘルスケアも、どこかで実態がバレて、面倒なことになる。抜け道を探すことよりも、別のことに知恵を絞ってほしいです」

LINE社員「WELQのことが頭に浮かんだ」

例えば、WELQが扱う医療・健康の領域は、高い専門性が求められるがゆえに、情報の正確性や適切性が何よりも求められる領域であって、それを確保するためには相応のコストをかける必要があった。そのようなコストや手間を厭い、情報の正確性や適切性を犠牲にすることなどあってはならないことであるのに、収益性の観点、すなわち多くのユーザー数を見込めるという理由を優先させ、情報の正確性や適切性を後回しにして、ひたすらDAUを追い求めてしまった最たる例が、WELQであったように思われる。

これは、2016年末に明らかとなったDeNAが運営していたヘルスケア情報キュレーションサイト「WELQ」の問題について、第三者委員会がまとめた調査報告書の一節だ。

医療情報は人の命に関わる。不正確な医療情報を大量に公開していた同社には大きな批判が寄せられ、DeNAはサイトを閉鎖した。

LINEヘルスケアで起きた問題を報道で知り、「WELQのことが頭に浮かんだ」とあるLINEの現役社員はBuzzFeed Newsの取材に明かす。

「記事をまとめてるのか、お医者さんをまとめているのか。違いはそれだけなのかなと」

5.1 本サービス上で行うことができる健康相談は、遠隔健康医療相談として行われるものです。相談者は、健康相談に対する医師の回答が相談者自身の個別的な状態を踏まえた具体的判断(診療、診察、診断、治療、処方など)ではないことを十分に認識した上で、自らの責任において本サービスを利用し、必要な場合には適切な医療機関の受診等を自らの判断で行う必要があります。

5.2 健康相談において医師が考慮に入れる相談者の情報はテキストのみであり、対面で診察を行う場合などと比べて限定的なものです。そのため、当社及び医師は、相談者に対し、健康相談の回答につき、適法性、真実性、正確性、完全性、有用性、目的適合性、最新性及び網羅性を保証しません。相談者は、遠隔健康医療相談のかかる性質を踏まえ、自らの責任において本サービスを利用し、必要な場合には適切な医療機関の受診等を自らの判断で行う必要があります。(LINEヘルスケア利用規約

LINEヘルスケアの利用規約の中で、同社はこの2点を注意事項として明記している。提供する情報に対して、最終的な責任を持たない構造などは「WELQ」と酷似している。

収益化へのプレッシャー、経営統合の余波も?

LINEの最終赤字は2018年12月期には37億円。この赤字幅が、2019年には468億円にまで膨らんだ。2020年上半期の最終赤字は242億6600万円だ。

LINE Payなど戦略事業の赤字幅を縮めることに成功しつつあるものの、依然として赤字幅は大きい。

そのような中、同社は2019年にカンパニー制を導入した。権限委譲を進め、より事業成長・拡大を促進することが目的だ。それぞれのカンパニーは独立採算制をとっている。

今回の問題の背景に見えてきたのは、高まり続ける収益化へのプレッシャーだ。

LINEはコロナ禍で、事業の整理にも着手した。同社は2020年8月末をもって「LINEノベル」を、9月末をもって「NAVERまとめ」のサービスを終了する。

たとえ事業の継続が決まったとしても、依然としてそのプレッシャーは大きなものだ。

「残してもらったのだからより高い収益性を、という無言の圧力を感じるところもある」というコメントをBuzzFeed Newsは得た。

カンパニー制導入による変化は、それぞれのカンパニー間での競争が促されただけではない。あらゆる部署、案件に採算性が求められるようになったという。

LINEは昨年11月、Yahoo!を含むZホールディングスとの経営統合を発表した。新型コロナの影響で経営統合に遅れが生じているものの、2021年3月には経営統合が完了する見込みだ。

この経営統合による余波はあるのだろうか?

今回のLINEヘルスケアの問題以前から、「経営統合による合理化の影響は絶対にある。これは、社内の誰もが感じていることだと思う」とあるLINE社員は話していた。

経営統合後には、Yahoo!と重複するサービスはどうなるのか。不安は尽きない。

Yahoo!の方がLINEよりもシビアに事業の判断を行っているという噂も流れ、多くの社員が危機感を持っているという。

社内では医薬品医療機器等法(薬機法)に関する勉強会が度々開催されていることも確認できた。

広告や記事で怪しい効果をうたう商品を紹介してはならない。確かではない効果を想起させてはいけないといったことについては徹底されているという。

しかし、特に医療に関して無責任なサービスを提供してはいけないという理解がどこまで社内に浸透していたのか、疑問は残る。

本当の意味でWELQ問題を自分事としてとらえきれていなかったのではないか、そんな社員の声もきかれた。

「みんな、LINEって社会のために良いサービスを提供してるよねと言ってもらえるものを作りたいと思ってはいる。だから、今回のことを残念がっています。LINEは医療の分野に触ってはいけなかったのかもしれない、と思ったりもします。マンガやゲームとは話が違うのかなと」

LINEの回答は?

LINEの広報担当者は今回の問題について、「原因は様々な観点がある」とし、その原因がどこにあると考えているのか明言を避けた。

「ご対応いただております医師の方々には、当社ガイドライン、各種法規制の遵守をすることに同意いただいておりますため、その遵守を徹底いただくよう弊社としてもコミュニケーションを改めてしていければと思います」

担当者は現在の1日当たりの相談件数は「公表していない」と回答。しかし、「コロナ感染拡大の影響もあり利用需要は感染拡大前よりも増えている状況」だという。

LINEヘルスケアでは医師の本人確認、医師免許確認、そしてガイドラインに基づくレクチャーを実施している。今回の問題を踏まえ、こうしたプロセスに課題はあったと考えられないのだろうか。

担当者は「LINEヘルスケア社が規定している内容に沿った審査を行っております」と説明し、こうした手順で「引き続き丁寧に対応をしてきたい」としている。

医師が専門とする診療科以外の科について相談を受けることについては、「医師自身が対応可能と判断したものを標榜いただいております」とコメント。

こうした診療科が医師による自己申告に基づくものであっても問題ないのかという質問についても、「医師自身が対応可能と判断したものを標榜いただいております」と同様の回答だ。

資格の欄に学会名が記載されていることについては、「一部ユーザーの方に誤解を招く可能性も勘案し、ご指摘の箇所についての対応の見直しを検討いたします」としている。

では、モニタリングは何人体制でどのように行われているのか。担当者の回答は以下の通りだ。

「具体的な人数などの公表はしておりませんが、厚労省のオンライン診療ガイドラインをもとにLINEヘルスケア社独自の医師向けガイドラインを作成しており、24時間365日モニタリングを実施しております」

「しかしながら、医師と相談者の間のコミュニケーションは、電気通信事業法上の通信の秘密に当たり、また医師法上も医師の守秘義務の対象として、弊社を含む第三者がみだりに内容を閲覧することは制限されております」

「そのため、弊社では、双方の事前同意の範囲内で、リアルタイムでの監視については自動モニタリングを実施しております。今後は、キーワードの見直しを含むモニタリング体制等の見直しを図り、再発防止策を検討、対応してまいります」

自動モニタリングとは具体的にどのようなものか。BuzzFeed Newsは同社に説明を求めたが、回答は「公表は難しい」というものだった。


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