トランプ氏 日本製鉄のUSスチール買収“全面的に反対”SNS投稿

アメリカのトランプ次期大統領は、日本製鉄によるアメリカの大手鉄鋼メーカー、USスチールの買収計画について自身のSNSで「全面的に反対する」などと投稿し、阻止する考えを示しました。アメリカ当局の買収審査にどのような影響を与えるのかが焦点になります。

トランプ次期大統領は2日、自身のSNSで日本製鉄によるUSスチールの買収計画に関連し「かつて偉大で強力だったUSスチールが、外国の企業、今回の場合は日本製鉄に買収されることに全面的に反対する」と投稿しました。

そのうえで「大統領として私はこの取り引きを阻止する。買収者は注意せよ」として日本製鉄側に警告とも受け取れる内容を記しています。

トランプ氏が大統領選挙で勝利して以降、この案件についてコメントや投稿をするのは初めてです。

日本製鉄は去年12月、USスチールを買収することで両社で合意しましたが、鉄鋼業界の労働組合などが反対する中、トランプ氏だけでなく、民主党のハリス副大統領も買収に否定的な考えを示していました。

日本製鉄はことし9月に買収計画を審査するアメリカ政府のCFIUS=対米外国投資委員会に計画を出し直し、現在、審査が行われています。

審査の期限が今月下旬にも迫るとみられる中、トランプ氏の投稿がバイデン政権のもとでの審査にどのような影響を与えるのかが焦点になります。

岩屋外相 “経済関係の強化 お互いにとって必要”

岩屋外務大臣は記者会見で「個別の企業の経営に関する事柄なのでコメントは控えるが、日米相互の投資の機会を拡大し、経済関係を一層強化していくことは、お互いにとって必要なことだ。インド太平洋地域の持続的、包摂的な経済成長の実現に資していく事柄については進めていくべきだ」と述べました。

日本製鉄 “買収は国家安全保障を強化する”

アメリカのトランプ次期大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画を阻止する考えを示したことについて、会社側がコメントを出しました。

この中では、「この買収はUSスチールを支え、成長させるとともに、アメリカの産業界とサプライチェーンの強じん化、そして、国家安全保障を強化するものと考えている。会社として27億ドル以上の投資を行う予定であり、アメリカ人の従業員がアメリカの顧客に最先端の鉄鋼製品を提供するために世界トップクラスの技術を導入し、雇用を守ることを約束している」としています。

経団連 十倉会長「法的手続きにのっとり しっかり審査を」

アメリカのトランプ次期大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画を阻止する考えを示したことについて、経団連の十倉会長は3日徳島市で開いた会見で「一企業の問題だが、日本企業はアメリカと経済関係が深いので関心を持って見守っている。私の理解では、日本製鉄は大統領選挙期間中を避けて審査の再申請を行い、年内に結論が出るということでバイデン政権のことになる。トランプ次期大統領が考えを示したことで、いろんな憶測や不安があるかもしれないが、法的手続きにのっとり、しっかり審査してもらいたい」と述べました。