ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏に損害賠償を求めた訴訟をめぐり、ブログで伊藤さんを侮辱したとして、山口氏の代理人だった北口雅章弁護士が、愛知県弁護士会から30日付で戒告の懲戒処分を受けたことがわかった。

 伊藤さんは2015年に就職相談のため飲食をともにした山口氏から、望まない性行為をされ精神的苦痛を受けたと訴えていた。北口弁護士は18年10月、伊藤さんの訴えについて、自身のブログに「妄想」「虚構」「虚偽」などと記載したとされる。

 北口弁護士は「真摯(しんし)に受け止めている」とした上で「内容については承服しかねる部分もある。慎重に検討の上、適切に対応したい」とコメントした。

 山口氏は嫌疑不十分で不起訴処分になったが、損害賠償訴訟は東京地裁が19年12月、「合意がない性行為だった」と認定し、山口氏に330万円の賠償を命じた。山口氏は控訴し、東京高裁で係争中。

 戒告は最も軽い懲戒処分で、県弁護士会は31日、弁護士名を伏せて概要を発表。「SNSで弁護士が発信する場合、特に慎重さが求められる。侮蔑的表現を用いたのは極めて遺憾」としている。