電力自由化骨抜きに…前代未聞の不正に揺れる業界 トップ人事も混迷
毎日新聞
2023/2/6 05:30(最終更新 2/6 05:30)
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電力業界が前代未聞の不祥事に揺れている。電力自由化を骨抜きにするような問題が次々と発覚し、電力大手10社でつくる業界の総本山「電気事業連合会」のトップ人事にも混乱が波及している。
関電が発端 顧客情報の不正閲覧
「公正な競争を揺るがすものと大変重く受け止めている。深くおわび申し上げる」。2022年12月に発覚した顧客情報の不正閲覧問題を受け、関西電力の森望社長は1月31日の記者会見の冒頭、こう述べて深々と頭を下げた。
関電の1月末までの社内調査では、22年4~12月の約9カ月間で、関電の営業担当社員ら1013人が子会社「関西電力送配電」のシステムにアクセスし、電力小売り事業に新規参入した電力会社「新電力」と契約する一般家庭の顧客情報計4万806件分を不正に閲覧していた。具体的には契約者の氏名や電話番号、契約先、電力使用量など7項目で、本来は知りようがない情報だ。
不正閲覧をした社員のうち、少なくとも30人は「不正に得た情報を営業活動に利用する目的だった」と回答。悪質な不正が社内で常態化していたことが明らかになった。関電は過去3年間に対象期間を延ばして調査を続ける方針で、不正規模が拡大するのは確実だ。
電力市場を監督する経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は事態を重く見て、1月24、25日に関電と関電送配電に立ち入り検査に入った。立ち入り検査は15年の設立以来初めてのことだ。
電力自由化、骨抜きに
監督官庁が憤っているのは、この不祥事が電力自由化の根幹を揺るがす問題だったからだ。
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