株式会社エブリーのブログ記事が私のブログ記事と類似していた件について問い合わせた結果の一部始終


おことわり

この記事は私個人の見解であり、過去を含め私が所属した、もしくはしている組織の見解を代表するものではありません。

1分で読めるサマリ

株式会社エブリーの技術ブログの記事から、過去私が公開した記事と似たタイトルの記事を見つけたため中身を確認してみたところ、タイトルだけなく本文5箇所についても類似を見つけました。偶然というにはあまりに不自然に思い株式会社エブリーに問い合わせたところ、「法的な問題はないものと考えております」という返事しかもらえませんでした。(159字)

以下に詳細をまとめていますので、興味を持っていただけたら続きをお読みいただければ幸いです。

この記事を書こうと思ったきっかけ

こんにちは。
普段は同じIDでQiitaに時々技術ブログを書いています。といってもその大半はメモ書きレベルのもので、技術ブログというのも少し気恥ずかしいのですが…。

今回この記事を書こうと思ったのは、タイトルの通りで、DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)を運営する株式会社エブリーのエンジニアブログの記事に、私が以前にQiitaに公開した記事(以下、私の記事)とよく似たタイトルでかつ本文中にも類似の記載が複数箇所見受けられる記事(以下、株式会社エブリーの記事)を発見しました。
対応する株式会社エブリーの記事と私の記事は以下の通りです。

株式会社エブリーの記事(2020年9月公開):

ウェブ魚拓:

私の記事(2018年12月公開):


株式会社エブリーとしては「法的な問題はない」という見解をお持ちであるものの、私としてはいささか納得しかねるものであり、他の方、特に技術ブログを書く方にもこういった事象について広く知っていただきたくこの記事を書いた次第です。

以下、時系列順に起こったことを書きます。

気づき

2020年9月15日に株式会社エブリーのブログに記事が公開されました。私が直接知ったのは9月25日、このツイートを見てのことだったと記憶しています。

前職にてよく使っており、また気に入っている技術であるDatabricksの紹介記事ということで、タイトルに違和感は感じつつも中身を確認したところ、やや不自然な類似箇所をいくつか見つけました。
何らかの形で株式会社エブリーに問い合わせようと思い、9月27日時点で株式会社エブリーの記事と私の記事の類似箇所をまとめました。また、問い合わせが受領されるまでの間に記事の内容が変わってしまうことの無いように同時点で株式会社エブリーの記事のウェブ魚拓を取得しました。

問い合わせまで

問い合わせようとは思ったものの、正直こういった内容で特定の企業にお問い合わせをした経験は今までになく、どうしてよいものか非常に戸惑いました。
週明けの9月28日、このことを信頼の置ける同僚何名かに相談したところ、友人に株式会社エブリーの従業員の方がいるとのことで、その方を紹介いただける運びとなりました。連絡先として提供されたTwitterアカウントを見たところ、このブログの筆者所属チームのマネージャーということもわかり私としても相談先として適切と判断しました。

そこで、その日中(9月28日)に、予めまとめた書面を提示し、その方を通じて株式会社エブリーにこの件について問い合わせました。
指摘させていただいた項目は下記のとおり、タイトル1箇所、本文5箇所です
(株式会社エブリーにお送りした書面と同一。ただし余白のみ見やすさのため調整。「記事1」が私の記事を指す)。

類似箇所1

類似箇所2


株式会社エブリーの記事も私の記事もDatabricksの機能を紹介する記事なので、同じ機能を紹介する上で同じ表現を使ってしまうなどは正直仕方ない部分もあると思います。ただし仮にその前提に立っても、通番2, 3のように、Databricksの機能に直接関係ない文面がこんなにも近しい表現になってしまうことはあまりにも不自然だと思いませんか?

株式会社エブリーからの回答

問い合わせより1週間後の10月6日、株式会社エブリーの法務・知財部門のマネージャーで弁護士の方から下記の回答をいただきました。
以下にメールのスクリーンショットをそのまま貼り付けます。
※私の名前と先方のご担当者名はマスク済み

スクリーンショット 2020-10-10 13.18.54

「法的な問題はないものと考えております」とのことです。
窓口となっていただいたマネージャーの方からは「内部調査の結果や法的な見解」をお伝えいただける、と聞いていたので率直に言って拍子抜けしました。
また蛇足ながら、この方は私の記事がいわゆる「職務著作」であると考えておられるのだと思いますが、実際には私が業務外の時間を使って個人的に作成・公開した記事です。
が、おそらくその確認を私にせずに「法的な問題はない」と回答されているので、私の記事の著作者/著作権者が私であろうと前職の企業であろうと関係ないのでしょう。

私が問題に感じている点

ここまでは起きた事実とそれを通じて私がどういう行動をとったかを書きました。この一連のやり取りで私が疑問に感じている点について書きます。

まず、株式会社エブリーは自社コンテンツによるメディアを運営する企業です。
その企業が、自社のコンテンツが他者(今回の場合私)のコンテンツと類似していた場合に、自社コンテンツのオリジナリティを説明したりすることなく、「法的な問題はない」とだけ回答するのが誠実な態度なのでしょうか。

また、窓口となってくれたマネージャーの方の所属する部門を含め、株式会社エブリーの技術部門では、この件が技術者倫理の観点からいかがなものかという検討はされなかったのでしょうか。
株式会社エブリーの記事にも私の記事と異なる内容は確かに存在し、その内容を持って株式会社エブリーの記事がオリジナリティのある記事と考えられているのかもしれません。
しかしそれにしても、この件に関わった株式会社エブリーの全員が、この不自然な類似を見て何も思われなかったのでしょうか。

なお、今回紹介されたブログはエブリーのエンジニア文化を紹介するためのブログとのことです。

(以下引用)
株式会社エブリーは、『動画を通じてもっと楽しく、もっと充実した毎日に』をミッションに掲げた、『動画』『リアルデータ』『AI』のメディア企業です。 株式会社エブリーのエンジニア文化を紹介するために、技術ブログを発信していくことになりました。

この株式会社エブリーの記事、またこの一連の対応が、メディア企業である株式会社エブリーのエンジニア文化だと胸を張って言えるのでしょうか。

終わりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事を読み私と同じように感じられた方はスキを押して頂けると嬉しいです。

最後に、この記事を公開するに至った想いを少しだけ書かせてください。

正直、私としてもこの記事を公開するのにかなり悩みました。
ただ、仮にここで私が沈黙してしまうと、将来他の方が気持ちよく技術情報を発信できなくなってしまうかもしれないと考えこの記事をまとめるに至りました。
というのも、私が技術者としてスキルを身につける上で、書籍はもちろんのこと、多くの個人ブログ・企業ブログを参考にしました。そして、少しでもその恩返しができればと思い、自分でも拙いながらに技術情報の発信をはじめました。

それゆえに、今回私がしたような体験を他人にしてほしくない、多くの方が今後も気持ちよく技術情報を発信できるようにと思い、この記事のような事例について認識し、このようなことが今後起きないような問題意識を持ってもらえたらと思い記事を書くことにしました。株式会社エブリーは本件について上記の回答以外の対応はしてくれませんでしたが、この記事を見て、技術情報発信のあるべき姿を考えてくれる人が増えてくれることを願うばかりです。




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