鮪立の海 (文春文庫 く 29-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 52
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914721

作品紹介・あらすじ

三陸海岸の入り江にある港町「仙河海」。大正十四年にこの地に生まれた菊田守一は、「名船頭」として名を馳せた祖父や父に憧れ、一人前の漁師になることを夢見ていたが、戦争がはじまり、守一が乗っていた船は海軍の徴用船にされてしまう。グラマンの機銃掃射、米軍潜水艦からの攻撃で船は大破し、父は大けがで漁師を引退、兄は海の藻屑と消えたが……。大正~昭和の激動の時代をひたむきに生き抜いた人々と日常を描いた感動巨編!

感想・レビュー・書評

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  • 熊谷達也『鮪立の海』文春文庫。

    文庫化を待ちわびていた熊谷達也のライフワーク仙河海サーガの1作である。三陸の『仙河海』に生まれた菊田守一が大正、昭和と移り行く激動の時代の中で一人前の漁師になるまでがダイナミックに描かれる。作中に同じ仙河海サーガの1作『浜の甚兵衛』の主人公・菅原甚兵衛が登場するのも面白い。

    『仙河海』という架空の港町は宮城県気仙沼市がモデルである。また、タイトルの『鮪立』は気仙沼市唐桑町に実際にある地名である。『鮪立』は遠くに大島を臨む小さな港であるが、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた。昔はその名が示す通りマグロ漁で賑わった港で、付近には唐桑御殿と呼ばれるマグロ漁で財を成した船乗りの豪邸が立ち並ぶ。本作の中ではこの『鮪立』という地名には一切触れられず、主人公の守一がカツオ・マグロ漁で身を立てるという意味で使われているようだ。

    本体価格930円
    ★★★★

  • 気仙沼をモデルにした架空の街、仙河海シリーズ集大成(らしい)。森シリーズは知っていたのだけど、こちらは知らずに、帯の仙河海サーガにも気が付かずに一気に読破。やっぱり好きな作家さんだ。

    大正〜昭和の激動の時代に生まれ、太平洋戦争を経て漁師として成長していく守一。彼の父や兄、友人の征治郎、など登場人物がみなキラキラと魅力的。港町の湿った空気と潮風の匂いを感じられる。シリーズは、守一の子ども、孫たちの世代が今後この街で成長し、震災を経験して未来へと、時代を前後しながらたくさんあるようなので、少しずつ読んでいこうと思う(なんとなくサーガというのに抵抗がある…)。

    欲を言えば、もう少し成長した守一の漁師っぷりが見たかったなあ。超大作だけど、ページが少なくなるのが惜しくなる一冊でした。

  • とにかく読むのに長い時間をかけてしまった。
    ちょっと映画や漫画に寄り道し過ぎた…

    正直戦争のところはなかなか興味も湧かなくて進まなかった。戦争終わってからも深く物語に入れそうで入れず、不完全燃焼感が残る。

  • 前半の戦争までは、漁業と戦争という微妙な取り合わせで面白かった。戦後になると、普通の恋愛小説になってしまい、残念という感じだった。もっと社会に突っ込んだ話を書く作者のはずだったけど、、、

  • 仙河海サーガが終わりました。

  • 文章が方言のせいか少し読み辛かった。
    人生すべてうまくいくなんてことはなくて、良いことと思い通りにはいかないことが半々くらいで出来てるんだなと考えさせられた。
    長めの小説だが、時の流れを感じながら読めるので流れとしては読みやすかった

  • 【俺ぁ、絶対に船頭さなるぞ!】守一は父や兄のように漁に一生をかけ、カツオ船に乗り込んだ――。激動の時代を生き抜いた男の一代記。「仙河海」シリーズ集大成。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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