国交省、国内6港湾で水素活用など脱炭素化 工業地帯への波及期待
12月18日、国土交通省は、横浜・神戸など国内6カ所の港湾で水素やアンモニアの活用などによる脱炭素化を検討すると発表した。写真は2010年11月撮影(2020年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 18日 ロイター] - 国土交通省は18日、横浜・神戸など国内6カ所の港湾で水素やアンモニアの活用などによる脱炭素化を検討すると発表した。温室効果ガス排出の大部分を占める臨界工業地帯への波及を期待する。菅義偉首相が所信表明演説で2050年の温室効果ガス実質ゼロを表明したのに対応した措置だ。
すでに2020年度3次補正予算で、洋上風力発電などと併せて8億円の予算を計上しているが、複数の政府関係者によると、8日に発表された総合経済対策の目玉である2兆円の脱炭素基金の活用も今後検討する。
対象となる港湾地域は小名浜、横浜・川崎、新潟、名古屋、神戸、徳山下松。主な温室効果ガスの削減策として、1)重油に替えて液化天然ガス(LNG)で動く船の燃料供給施設整備、2)コンテナトレーラーの燃料電池自動車(FCV)化、3)コンテナ運搬装置など港湾施設の水素動力化などを検討する。
港の物流システムのデジタル化による渋滞解消を通じた間接的な排気ガス削減や、火力発電所での温室効果ガスを排出しないアンモニアの利用やFCVトラック向け水素ステーションなどの整備も検討する。
日本の年間温室効果ガス排出量は2018年実績で11億3800万トン。うち40%を製油所・発電所、25%を鉄鋼・化学工業が排出しており、これらの施設は臨海地域に集積している。国交省としては水素やアンモニアなど次世代エネルギー関連インフラを港湾に整備することで、臨海工業施設への普及につなげたい考えだ。
竹本能文※
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