「小さな政府」から脱却 立民・枝野代表が政権構想発表 野党結集のイニシアチブ狙う

会見で記者団の質問に答える立憲民主党・枝野幸男代表=29日午後、国会内(春名中撮影)
会見で記者団の質問に答える立憲民主党・枝野幸男代表=29日午後、国会内(春名中撮影)

 立憲民主党の枝野幸男代表は29日の記者会見で、次期衆院選を見据えた政権構想案を発表した。新型コロナウイルスの感染収束後の「ポストコロナ」の社会像として、「小さな政府」からの脱却や支え合いの重要性などを訴えた。

 枝野氏は会見で「最大野党の党首として、党内外の思いを共にする皆さんに対する呼びかけであり、提案だ」と述べた。安倍晋三首相が早期に衆院を解散する可能性を念頭に、各野党にも政権構想作りへの参加を呼びかける考えだ。

 構想案では、あるべき社会や政治経済の方向性として(1)過度の自己責任論から「互いに支え合う社会」(2)効率性重視から「未来志向の分散型経済」(3)小さな政府から「信頼できる機能する政府」-との目標を掲げた。公共部門の過度な削減を進めた結果、医療や生活を支える体制が脆弱化し、新型コロナの感染拡大で問題が顕在化したとの認識がある。

 枝野氏は東日本大震災後から構想案を温めてきたと語ったが、この時期に発表したのは、国民民主党との合流を含め野党勢力を結集し、立民がイニシアチブを握る狙いがある。安倍政権の支持率が下落し、新たな政権の受け皿を用意する必要性を感じているからだ。

 もっとも、今回の構想案は内政が中心で、憲法や外交・安全保障などの政策は盛り込まなかった。主要政策で野党間の温度差が露呈するのを防ぐ思惑があるとみられるが、政権奪還に向けて迫力に欠ける部分も見える。(千田恒弥)

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