みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

自らを客観視できない堀江氏は既に過去の人では - 改革者精神はこれからの日本でこそ花開く

2011-05-04 | いとすぎから見るこの社会-全般
堀江貴文・元ライブドア社長の実刑が確定しました。
溢れる才能の持ち主であるのは間違いないですが
彼の時代はもう既に終わっていると思います。

第1に、起業家や若者が日本にいると潰されるとの主張は明白な誤りです。
例えば声望高い岩瀬大輔氏は、誰も手を付けられなかった国内の
生命保険業界を根本から変えてゆく最中です。
しかし旧ライブドアと違って強制捜査など受けていません。

旧ライブドア経営陣は、単に日本社会への洞察力なく
誤った見通しに縋って脆弱性をさらけ出したに過ぎません。

『ネットで生保を売ろう!』(岩瀬大輔,文藝春秋)


第2に、起業家としての器にそもそも限界があると思います。
フェイスブック創業者ザッカーバーグの方が遥かに上です。
LDが2006年にハーバードの学生だった若者にいとも簡単に抜かれたのも当然です。

▽ 映画の誤ったイメージと違い、ザックは凄まじく優秀な人物である。

『フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)』


個人的な見解としては、堀江氏に熱烈な支持が寄せられるのは
その古い社会体制への挑戦的なスタイルに対する支持に過ぎず、
その支持者たちが非力で現代社会への強いルサンチマンを抱えているのを
証明しているに過ぎません。

他の相応しいロールモデルはいくらでもいるのに
彼らが敗者に固執するのは心理的要因としか考えられません。

同じ敗者でもドレクセルのマイケル・ミルケンは
出所後にその社会貢献で高く評価されています。
小銭を有料メルマガで稼ごうとなどしていません。


「起業家、若者は日本にいるとよくない」 実刑確定ホリエモンがメッセージ(j-cast)
http://www.j-cast.com/2011/04/26094262.html

”ライブドア(現LDH)をめぐる粉飾決算事件で、堀江貴文同社元社長(38)の実刑
 判決が確定し、近く収監される見通しとなった。堀江元社長は2011年4月26日夕方、
 都内で記者会見を開き、「無罪主張は続けていきたい」などと話した。また、若者
 や起業家に対しては、「商売をやりやすい中国に行けばいい」とアドバイスした。
 04年9月期の連結決算で経常利益を粉飾するなどの証券取引法(現金融商品取引法)
 違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われていたが、1審から一貫して
 全面無罪を主張。だが、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)が11年4月25日付け
 で堀江氏側の上告を棄却し、1・2審の懲役2年6月の実刑判決が確定する。
 〔中略〕
 旧ライブドアのみが事実上「狙い撃ち」されたことに対する東京地検への違和感を
 繰り返した。

 「健全に動いている上場企業、しかも株主が15~20万人いる会社を、いきなり強制
 捜査をしてしまうというのは、非常に異例だし、これまでで、多分うちらしかない」
 「こんなことをして、いったい誰が得をするのか。株式市場はずたずたになって、
 個人投資家は東証から離れていった。東証は日本経済を引っ張る象徴。我々をつぶ
 すことが日本経済に多大な影響をもたらすことは、検察も予測していたのではない
 か。それでも、(検察は)やりたい。こういうことでいいのか、皆さんで議論して
 ほしい」
 具体的には、LD事件後には「M&Aの件数が減ったり、企業買収がやりにくくなった」
 といった日本経済への悪影響があったと主張。また、
 「我々をつぶすのは構わないが、周りにでかい影響をあたえるなと言いたい。もう
 手遅れですけどね」
 と、恨み節も口にした。
 〔中略〕
 起業家など、若者へのメッセージを求められると、日本に対するあきらめを口にし
 た。
 「中国とか行くといいんじゃないですか。みんな生き生きと、前を向いて働いてい
 る。それに対して、潰したりはしない。言論統制はすごくしているが、商売をして
 いる分には、やりやすい。ずっと日本にいると、よくない気がする。若い人は特に、
 世界にいった方がいい。そういったところからパワーをもらったほうがいい」”

 → 事実は全く違いますね。
   日本電産やソフトバンクは検察から「狙い打ち」されたでしょうか。
   結局は経営トップが油断して隙を見せていたかどうかの違いです。

   また、日本への諦めは先見性の乏しさを示唆しています。
   これからの数年は中国より日本の方がエキサイティングになります。

   なぜなら財政危機が刻一刻と迫ってきているので
   幕末や戦後のように既得権層が「パージ」され
   意思決定できる地位から駆逐される時期が近いからです。
   歴史的経験に従えば、間違いなく日本は大改革が得意な国です。

▽ 渡邊正裕氏のシミュレーション小説の通り、日本の大変革期は近い。

『週刊東洋経済』2011年 4/2号


なぜ私は世間から嫌われ、孫正義は好かれるのか ライブドア元社長 堀江貴文(president)
http://president.jp.reuters.com/article/2011/02/12/2CB85012-34C5-11E0-8AF4-11E73E99CD51.php

”孫正義氏は、今年1月の弊誌調査「好きな経営者ランキング」でトップに選ばれた
 が、反対に「嫌いな経営者」トップに選ばれたのは、元ライブドアの堀江貴文氏で
 あった。すっかりイメージを落としてしまった堀江氏だが、過去には孫氏、楽天の
 三木谷浩史氏と比較され、経営者ランキングで揃って上位に選ばれた時代もあった。
 そんな堀江氏から見ると、孫正義氏と、そのビジネスはどのように見えるのだろう
 か。
 〔中略〕
 ――事業家としての孫さんをどのように評価されていますか。
 堀江 いわゆる「ハイローラー」ですよね。精一杯レバレッジをかけて勝っていく
 感じ。入札では常に最高額を提示するタイプで、お金のパワーをよく知っています
 よ。「欲しい」と思ったら、どんなことをしてでも買う、みたいな感じ。
 ちなみに僕は逆のタイプ。欲しくても割安でなければ絶対に買いません。
 ――過去、テレビ局の買収劇で、孫さんはテレビ朝日株を取得したものの「相手が
 その気じゃないのに株主になっても無理」とすぐ撤退しましたが、堀江さんはフジ
 テレビに440億円もの第三者割当増資まで呑ませました。こういった判断の違いは
 どこから生じたのでしょうか。

 堀江 孫さんの判断については、正直わかりません。僕については、買ったほうが
 いいと思ったから買ったまでです。
 ――相手が嫌がっても買う価値があると。
 堀江 そもそも「嫌がる」って意味がわかんないですよね。上場会社で株主がいて、
 公共性の高い企業が嫌がるって何言ってんの、みたいな。嫌がる女性を無理にねじ
 伏せて、とかじゃないでしょう。
 テレビ局は、電波という公共財産を特別に割り当てていただいて事業を営んでいる
 わけじゃないですか。なのに好きとか嫌だとかいった感情論で物事を進めようとす
 る人がいるから困るんですよ。
 ――ただ、そうした反発が堀江さんに対するバッシングや後の逮捕につながった面
 もあると思いますが。

 堀江 逆恨みされたようなことも伝え聞きますが、僕には理解できないし、そうあ
 るべきではないとも思っています。でも実際、そこそこ成功した人が「こいつは嫌
 い」といった理由だけで、いろいろなことを決めたりしている
。そういう人は公の
 精神が欠けていると思いますが。
 もちろん、当時の孫さんの判断は、結果論としてはよかったんじゃないですか。
 〔中略〕
 ――プロ野球球団の買収では最初にライブドアが手を挙げたものの果たせず、後発
 の孫さんがホークスを買収しました。孫さんがプロ野球に参入できて、堀江さんが
 できなかったのはなぜでしょう。

 堀江 一つは資金力。あとは、僕と違って孫さんは嫌われないんじゃないでしょう
 か。おっちゃんだし。イケメンで髪フサフサの30歳だったら無理だったんじゃない
 かな、嫉妬されて。孫さんは立派なことしか言わないし、苦労話もいっぱいする。
 苦労しているおっちゃんはあまり嫌われないよね。世間からは「血のにじむような
 努力をしないとああいうふうにはなれないんだ……」とか思われて。
 そういったところって、物事をスムーズに進めていくうえで結構大事だったりする
 みたいですね。でも、僕は自分の苦労話とかするのは嫌なんですけど。だって格好
 悪いじゃん。
別に孫さんを批判しているわけではないですよ。彼はそういうことを
 自然にできる人だと思いますし、そのほうが得なんじゃないでしょうか。
 ただ、僕にはそれができないんです。
 あと、ある意味、孫さんの経営はすごくオーソドックスだと思う。孫さんがトップ
 としてITのことがわかっているだけで、ものすごいアドバンテージがあるわけです
 よ。同業の大企業経営者はわかっていない人が多いですから。
 時期もよかった。孫さんが会社をつくったのは、僕の起業より15年くらい前ですね。
 世界的に見ればビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも同じ世代。あの頃にITを始
 めた人たちは、そこそこの能力があれば大体うまくいっている。焦りすぎないで、
 オーバーバリューくらいの値段をかければどんな会社でも買える。
 ――「焦りすぎない」という意味は。
 堀江 孫さんは、最大限のスピードでやっているのかもしれませんが、僕のスピー
 ド感からするとちょっと遅いと思う
。だからこそ、世間的にはちょうどいいんでし
 ょう。彼が考えていることもある意味、受け入れやすい。30年ビジョンを語ったり、
 創業した会社に一生を捧げるというような話は、普通のサラリーマンでも「立派だ」
 と共感しますよね。
 僕はそういう意味では速すぎるから、ある程度ブレーキかけながらやらないと。30
 年かければそりゃできるでしょう。でも、僕は仕事以外にもやりたいことがあった
 し、寝食忘れて働くのには限界があるから、30代半ばくらいで一回終わらせたいと
 思って焦ってた。
 ――堀江さんと孫さんはどちらもIT業界で会社を急成長させ、社会に大きなインパ
 クトを与えましたが、なぜか堀江さんにだけ悪役イメージがあるようです。

 堀江 マスコミのプロパガンダと、それによる世間の思いこみでしょうか。あと、
 僕の言っていることがスピードが速すぎてわからないからじゃないですか
 例えば「テレビ局買収して何やるんですか?」と聞かれたから、「ライブドアって
 テレビ局に変えて、ライブドアドットコム、と番組に出すんですよ」と端的に答え
 ると、もうほとんどの人が理解できない。要はテレビ局をNHKのような有料課金型
 に変えて強固な収益基盤をつくり、いいコンテンツをつくる体制を構築するのが本
 質なんだけど理解されない。
 実際、今になってテレビ局の収益が悪化し始めてますよね。そこにきてやっと同じ
 ようなことを言う人が出てくる。
 みんなが考えていないことをやらない限り、超過利潤は得られませんから、そんな
 に理解されるわけはないんですが。そういう意味では、孫さんはものすごく先進的
 なことはやっていないんです。
 今、ソフトバンクの加入者数を牽引しているのはiPhoneですよね。アメリカでいい
 感じで普及したところで日本にポンと持ってきたけど、孫さんはiPhoneを生み出し
 たわけじゃない。否定はしないけど、僕からするとつまらない。
 ――堀江さんはソニーを買収し、今で言うスマートフォン的なものをつくりたかっ
 た、と著書で書かれていますね。

 堀江 だって、そのほうが面白いじゃん。僕は2004年頃、「常時接続でインターネ
 ットにつながった、携帯電話機よりも一回り大きいぐらいの端末が主流になる」と
 予言したけど、ソニーを買収するって話になった時点で、「とんでもない」ってみ
 んなの思考が止まっちゃう。
 でもね、僕は無理に人の考え方を変えたいと思わないほうなので、わかる奴だけ周
 りに集まればいいと思ってる。司法対策という意味で、事実無根の噂を流されたよ
 うなときは徹底的に説明するようになりましたが、「僕はこう思うけど、君はどう
 思ったっていいんだよ」という気持ちは変わらないです。
 ずっと嫌われて上等という生き方をしてきましたが、「なんとなく格好いい」とか
 フワフワした好かれ方が気持ち悪いんです
。本質がわかったうえで言ってくれるな
 ら嬉しいんだけど。相手に要求するレベルの高さ、そこを僕は結局、妥協できない
 んでしょうね。”

なぜあれだけの頭脳の回転の早さでもビジネスで足元をすくわれたか、
このインタビューでほぼ完全に理解できます。

他者の感情論を明確に批判していながら
自らの行動スタイルが感情的なものであることを批判しない二重基準、
実行力や達成力ではなく頭だけで他人を「遅い」「本質が分からない」とするのは
思い上がっている証左ではないのでしょうか。

「わかる奴だけ周りに集まればいい」という人物に
「公の精神が欠けている」と言われても説得力がありません。

そもそも、ソフトバンクの孫社長と対等であるのように口をきいているのが
間違っているのではないだろうか。
検察の動きを予見できず企業を事実上潰してしまった経営者と、
大震災に100億を寄付し私財を投じて次代のために財団を設立した経営者を
同等視することなどできよう筈がない。

話が面白いことと経営者としての評価は、本来全く別のものだ。
経営者は無駄な饒舌ではなく、実績でおのれを語るべきだ。
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